徳島県西部の食品会社が運営する香川県さぬき市の養鶏場で、鶏からH5型高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認された問題で、県は12日夜、この養鶏場と、経営者や飼育員が同じ近くの養鶏場の計約9万2千羽の殺処分を完了した。
高病原性ウイルスは鶏などを大量死させる。また、農林水産省は12日、ウイルスはH5N6型と遺伝子解析で判明したと発表した。この型は今季、松江市で死んでいた野鳥から検出されていた。
殺処分は11日深夜に始まり、寒さや地面のぬかるみが原因で遅れ、県職員や自衛隊員を増員して対応した。
香川県庁では礒崎陽輔農林水産副大臣が12日午後、浜田恵造知事と会談。終了後、礒崎氏は取材に「初動対応が非常に重要だ。県を全力で支援していく」と話した。
◆香川県、業者報告遅れに遺憾
香川県農政水産部の秋山正英次長兼畜産課長は12日、記者団に対し、高病原性鳥インフルエンザが確認された養鶏場を運営する徳島県西部の食品会社からの報告が遅れたとして「非常に遺憾」と述べた。
香川県によると、国の防疫指針では養鶏業者は死んだ鶏が通常の2倍に達した場合、県などに通報しなければならない。徳島県西部の食品会社は、8日に通常の3倍以上の33羽が死んだのに報告しなかった。
同社は県に対し「獣医師による鳥インフルエンザの検査で陰性だったため、報告しなかった」と説明しているが、県は8日に報告するべきだったとして、10日の立ち入り検査の際、担当職員が口頭で指導した。
適正に報告されていれば、消毒などに早期に着手でき、感染拡大のリスクを減らせたという。香川県は再発防止のため、県内の全養鶏業者に防疫指針を発送し、周知を図った。