私たちは今、一人の女の子が歴史に残る名選手へと駆け上る成長の物語を、現在進行形で目にしている。群雄割拠の女子テニス界に、新たな時代が到来したといってもいいのだろう。大坂なおみ選手が全豪オープンで初優勝し世界1位の座を手に入れた

 まだ21歳。心技体でいえば心の弱さが指摘されてきた。決勝の相手はチェコの28歳、ペトラ・クビトバ選手。四大大会で最も伝統のあるウィンブルドンを2度制した強豪である

 第2セットで3連続のマッチポイントを握りながら、これを逃すと流れが急変。ミスが目立ち始め、このセットを落とした。以前なら、このまま崩れてしまってもおかしくなかった場面で、気持ちを奮い立たせた

 精神面で、ひと回り大きくなった証しともいえる。爆発的な成長力は、若さの特権だ。「全米の優勝はサプライズだったけど、今回は自信があった」と大坂選手

 表彰式では、強盗に襲われて大けがをする不運から、見事に復帰したクビトバ選手への気遣いを忘れなかった。強さにちゃめっ気、優しさも併せ持った彼女の前には、国籍もかすむ。世界を魅了する大坂選手である

 まだ伸びしろがある。「世界ランキング1位は、私のゴールではない。全仏オープンも優勝したいし、どのトーナメントでも勝ちたい」と貪欲だ。どこまで強くなるのだろう。