徳島県内の公立高校で、海外へ修学旅行に行く学校が2018年度はゼロになる。唯一実施していた徳島北(徳島市)が、国際情勢の不安定化などを理由に、海外を当面やめると決めた。社会のグローバル化を背景に、県立学校では02年度に3校が初めて行い、ピークの07年度には10校に上ったが、テロの発生や感染症の流行、燃料高騰による旅費の上昇などで近年は下火になっていた。

 徳島北では、国際英語科の2年生(定数40人)が国際感覚を磨く狙いで15年度から17年度まで、グアムへの修学旅行を実施。5月に4泊5日の日程で現地を訪れ、協力校の生徒と交流してきた。

 長篠俊文校長によると、国外でテロが相次いでいることなどを考慮して18年度から、普通科が5月に3泊4日で行っている北海道旅行に統合することにした。同校では15年8月、タイの姉妹校への訪問が、渡航直前の爆弾テロ事件で直前でのキャンセルを余儀なくされる事例が起きていた。

 同校は毎年12月に国際英語科の1年生、3月に国際英語科と普通科の1、2年生の希望者を対象に、オーストラリアやニュージーランドで約2週間の語学研修を実施。ホームステイをしながら、現地の大学で英語を学んでいる。修学旅行で海外行きをやめても、国際感覚を磨く機会は確保できると判断した。

 県教委によると、県立高校の海外修学旅行は、02年度に新野、鴨島商業(現吉野川)、池田定時制の3校が中国、シンガポール、韓国に出掛けたのが始まり。03年はアジアで新型肺炎(SARS)が流行した影響でゼロになったが、増加傾向が続いた。

 しかし、新型インフルエンザの世界的な流行(09年)や中国各地で起きた反日デモ(12年)で渡航を中止する学校が出たほか、原油高による渡航費の高騰も響いて取りやめる学校が相次いだ。