那賀町消防署が2015年3月から16年1月まで、車検切れのポンプ車1台を使って業務に当たっていたことが16日、分かった。約10カ月間に4件の火災の現場に出動し、消火活動に当たっていた。車両管理を担当していた署員が車検に出すのを忘れていたためだが、この署員の処分は行われていない。

 同署などによると、車検切れで使っていたのは本署(同町百合)で管理されている4トンのポンプ車。車検切れから約10カ月後、町消防本部の別の職員が気付き、業者に引き取ってもらって車検を通した。自動車損害賠償責任保険(自賠責)の期限も過ぎていた。ポンプ車は購入から20年ほど経過していたため、数カ月後に廃車にされたという。

 坂口博文町長は問題を把握後、管理監督が不十分だったとして、西本安廣消防長を口頭で厳重注意した。担当の署員は処分されず、現在も車両の管理をしている。

 西本消防長は、車検切れについて「あってはならないこと。再発防止のため、毎日の点検時にも確認するよう署員に注意喚起している」と話した。

 坂口博文町長は「事故など重大な事態にもつながりかねないミスで、署員の認識が甘かった。消防長には今後、このようなことがないよう注意した」と話した。

 那賀町消防署は、14年度に海部消防組合から独立。同町百合に本署、同町平谷に上那賀、木頭、木沢の3地区を担当する上流出張所がある。