女子バスケット 藤本愛瑚(18) 桜花学園高、小松島中出
得点力と突破力光る
力強いドリブル突破から放った正確なジャンプショットがリングに吸い込まれていく。「シュートの決まる瞬間がすごく楽しい。チームが勝てばなおさら」。弾んだ声に自信がみなぎっている。
177センチの体格を生かしたポストプレーに1対1の強さを兼ね備え、3点シュートの精度も高まっている。高校女子屈指のインサイドプレーヤーは、オールラウンダーへと急成長を遂げている。
非凡な才能は小松島中1年の時に日本協会関係者の目に留まり、有望選手を集めるトップエンデバーに初めて招集された。若い世代の日本代表にも選ばれ、2015年アジア選手権(インドネシア)と、16年の世界選手権(スペイン)を経験した。
勧誘されて進学した桜花学園高(愛知)は全国総体、国体、全国選手権の3大タイトルの合計優勝回数が62と最多を誇る。基本の動きを繰り返す練習が多く、パスを出す際の足の角度などに注意したり、姿勢を低く保ったり。初めは「面白くない。ゲーム形式がしたい」と思ったが、チームが勝つことで大切に思えてきた。
控えで試合に出た1年の時は2冠、2年では3冠を達成。レギュラーとなった最後の年はエースを担ったが、全国総体の2位が最高で無冠に終わった。「後輩を勝たせてあげられなかった」と今も悔しさが込み上げる。
高校では左足のけがとも戦った。1年の秋に甲を疲労骨折し、2年の夏はすねを再び疲労骨折。すねは治ったが、甲の完治には手術がいると診断された。「チームを離れたくない」。痛みを抱えながらプレーを続けた。
苦しい時に励ましてくれるのが、バスケットボールの楽しさを教えてくれた二つ年上の姉・愛妃だ。東京医療保健大で主力として活躍し、17年の全日本大学選手権を制覇。同年のユニバーシアード夏季大会は準優勝の原動力になった。「負けないよう、もっと頑張る」。身近な存在が大きな刺激になっている。
今春からは国内最高峰のWリーグで10連覇に挑んでいるJXに進む。レギュラーの大半はリオデジャネイロ五輪の8位メンバー。激しい競争が待ち受けているが「努力を惜しまず、スターターを勝ち取る。人を魅了するプレーヤーになって日本代表にも選ばれたい」。トップレベルに身を置き、さらに進化する。