1995年1月17日に発生した阪神大震災は、一般には広く知られていない断層が大地震を引き起こした。徳島県内の活断層は有名な中央構造線断層帯以外にも、認知度は低いものの直下型の大地震をもたらす可能性のある活断層が複数ある。南海トラフ巨大地震の津波や中央構造線地震による被害が小さいとされる地域が甚大な揺れに見舞われる恐れがあり、専門家は「どの地域に住んでいてもしっかりと備えを進めて」と警鐘を鳴らしている。

 政府の地震調査研究推進本部(地震本部)によると、中央構造線以外で県内に甚大な被害をもたらす可能性のある活断層は、吉野川市鴨島町から徳島市国府町にまたがる上浦―西月ノ宮断層(長さ約10キロ)と、美馬市木屋平から神山町を横断し、佐那河内村までを走る鮎喰川断層帯(約28キロ)がある。

 地震本部は毎年最新の調査結果を公表しており、上浦―西月ノ宮断層は昨年12月に震度予測を見直した。それによると、同断層ではマグニチュード(M)6・5程度の地震が予想される。

 吉野川南岸流域を中心に断層周辺が震度6強に見舞われるほか、松茂、北島、藍住など北岸の自治体でも震度6弱の揺れが見込まれる。平均活動間隔は分かっていないが、地形の状況などから今後30年以内の地震発生確率は最大で1%程度と推測されている。

 鮎喰川断層帯は、徳島県がM6・7程度の地震を想定している。美馬市木屋平地区の一部や神山町南部、佐那河内村北部が震度6強、徳島市、北島、藍住、石井各町などが震度6弱の揺れに見舞われる。最新の活動時期や詳しい平均活動間隔は分かっていない。

 徳島の内陸部以外にある活断層も甚大な被害を引き起こす可能性がある。

 和歌山県から鳴門沖を通る中央構造線の紀淡海峡―鳴門海峡区間(約54キロ)では、地震本部の想定でM7・7程度の地震が発生する。鳴門市の南部や徳島市北部、松茂町などで震度6強が、小松島や阿南両市の沿岸部でも震度6弱の揺れが予測されている。今後30年以内の発生確率は0・005%~1%とされる。

 2016年4月の熊本地震の本震を引き起こした布田川断層は、30年以内の発生確率が0~0・9%とされていた。