2017年に三好市大歩危・祖谷地区の主な5ホテルで宿泊した外国人観光客は前年比27・1%増の1万8847人だった。2年連続で1万人を超え、10年前の2007年と比べると34倍に増えた。官民を挙げて誘客に取り組んできた香港の観光客が、順調に伸びている。

 両地区の5ホテルでつくる「大歩危・祖谷いってみる会」によると、国・地域別では香港が1万38人で全体の53・26%を占め、5年連続で最も多かった。次いで台湾が2049人、中国が1223人、米国が980人だった。宿泊者総数に占める外国人の割合は約25%に上るという。

 いってみる会は、香港の観光客が伸びている要因に交通事情の相性を挙げる。車は日本と同じ左側通行で右ハンドル仕様のため、レンタカーを使う個人客は運転しやすいという。さらに、同会が11年から取り組む現地でのPR活動などで知名度が上がり、訪れた人がインターネットや会員制交流サイト(SNS)で発信することで魅力が広がっていると分析する。

 前年比で伸び率が目立ったのは韓国で、16年の207人から3倍以上の643人となった。香港、台湾、中国と同様に高松空港発着の定期便があり、16年10月から高松―ソウル線が格安航空会社(LCC)の運航に変わったことが影響したとみられる。

 月別では、紅葉シーズンの11月が最多の2636人。利用が少なかった1、2、5、6月が前年比30%以上増え、初めて全ての月で千人を超えた。

 祖谷のかずら橋の外国人観光客も増えている。市観光協会によると、前年比35・88%増の5万4767人で初めて5万人を超えた。集計を始めた12年以降、最多を更新し続けている。

 両地区は昨年12月、米国の大手旅行雑誌「トラベル+レジャー」の「2018年に訪れるべき50の旅行地」に日本で唯一選ばれた。

 いってみる会の植田佳宏会長(ホテル祖谷温泉社長)は「県が進める香港の国際定期便が実現すれば、まだまだ伸びる余地がある。アジアはもちろん、欧米豪へのプロモーションにも取り組んでいきたい」としている。