和と洋 空気感楽しんで

 鳴門市の大塚国際美術館で2月15~18日に開かれる第8回システィーナ歌舞伎「GOEMON ロマネスク」に出演する中村壱太郎さんが、稽古の合間を縫って徳島新聞社のインタビューに応じた。壱太郎さんは本番を前に「普通の歌舞伎とは違う空気感を楽しんでほしい」と意気込んでいる。

「悪女の奈桜」役 中村壱太郎さんが抱負

「普通の歌舞伎とは違う空気感を楽しんで」と話す中村壱太郎さん=大阪市の大阪松竹座

 舞台はスペイン。主演の片岡愛之助さんが石川五右衛門とスペイン人の父カルデロンの2役を演じる。カルデロンは壱太郎さんが演じる奈桜(なお)と出会い、一目でとりこになってしまう。奈桜は九尾の狐に取りつかれ、五右衛門親子を翻弄(ほんろう)する役柄だ。

 「絶世の美女が国を傾ける話は古くからあり、奈桜も国を乗っ取ろうという邪心、大望を持っている。ニヒルな悪女の姿を見てもらいたい」

 会場のシスティーナホールに設けられる舞台は、客席に取り囲まれたアリーナ形式となる。「通常の歌舞伎は前から見るだけだが、360度から見られるので難しい。いつも以上に、女性としての立ち居振る舞いに心を配っている」と話す。

 システィーナ歌舞伎のコンセプトは「和と洋のコラボレーション」。壱太郎さんも劇中でフラメンコを踊り、宝塚歌劇団元トップスターの彩輝(あやき)なおさんとの共演もある。

 「彩輝さんの男役と私の女形の組み合わせは大きな挑戦。名画を備えた礼拝堂という会場も含めて洋の色合いが濃い中で、歌舞伎俳優として伝統や和の要素をいかに調和させていくか、責任を感じている」と力を込める。

 今回を含め、システィーナ歌舞伎の出演は6回目。「公演が始まれば会場にほとんど缶詰め状態となるので、徳島を満喫する余裕はないが、海に隣接した所で心が癒やされていますね」とほほ笑んだ。

 公演は4日間とも午前11時からと午後3時半から。問い合わせは大塚国際美術館<電088(687)3737>。