鹿の群れの向こうに壮麗な木造建築物が見える。「あれが有名な大仏殿。他のお堂や仏像も歴史が詰まっていて奥が深い」と東大寺(奈良市)の魅力を語る。

 2017年から東大寺寺務所執事室に勤めている。龍谷大(京都市)を卒業後、Uターン就職して3年たったある日、東大寺の僧侶となった大学時代の友人から電話をもらった。「寺務所が職員を募集している」。そうそうあることではなく、思い切って転職を決めた。「もともとお寺の雰囲気が好きで希望がかなった。両親も最終的に理解してくれた」と話す。

 仕事は年中行事やイベントの準備・運営と、テレビや雑誌、ネットメディアなどからの取材の受け付けが中心。勤め始めて約2カ月後、大仏殿での国民文化祭開会式という大仕事に関わった。2年目の18年は東大寺の世界遺産登録から20年の節目で、人気デュオ「KinKi Kids」の堂本剛さんのライブなど観衆5000~7000人規模の記念イベントに携わった。

 「イベントが終わった後、帰っていく人たちの『良かったね』という声が聞こえくるのが何よりうれしい」と目を輝かせる。

 仕事を通じ貴重な出会いも多い。東大寺の撮影許可を得るため写真家の三好和義さんが尋ねて来たことも。「話していて阿波弁をしゃべるなと思っていたら、後で徳島出身の有名な人だと知った」と笑う。

 昨年2月から約1カ月間、東大寺二月堂で1260年前から行われている伝統の仏教修行「修二会」に、お坊さんの身の回りの世話をする仲間(ちゅうげん)として参加。「食事はずっと精進料理で、この間に5キロやせた」と明かす。

 徳島ラーメンが大好きで週1回は食べていた。「奈良に来て、あの味がすごく恋しい」。

 おか・だいじろう 徳島北高、龍谷大経済学部を卒業。県内企業で3年2カ月勤務し、2017年6月に東大寺寺務所に就職した。奈良市在住。26歳。