2016年の徳島県内での養殖ワカメ生産量が過去10年で最も少ない5946トンだったことが、農林水産省がまとめた養殖魚種別収穫量調査で分かった。養殖に必要な種苗の生産が地球温暖化による水温上昇で極度の不振だったため。
16年の県内の養殖ワカメ生産量は前年と比べ371トン(5・9%)減り、過去10年で最も少なかった09年の5957トンを11トン下回った。記録の残る1989年以降で最少だった2006年の5843トンに次ぐ低水準。
原因はワカメの種苗の生育不良とみられる。生育不良は14年から目立ち、種苗販売量は同年が前年比70%減の4万8千メートル、15年は半減の2万4千メートル。16年はさらに70%減って7千メートルと、記録の残る03年以降で最も多かった04年の17万5千メートルの4%まで落ち込んだ。
種苗は、鳴門市内の複数の民間業者が毎年5~10月に屋外の水槽で育成する。種苗の成長には水温が大きく影響することから、県水産研究課は「近年の温暖化で夏場の気温が例年より高く、日射量も多かったことが生育不良の要因」とみている。
徳島地方気象台によると、16年8月の徳島市は、平均気温が平年より1・3度高い29・1度、日照時間は63・7時間長い294・1時間だった。
水産研究課が漁業者に対して行った聞き取りでは、17年の種苗生産量は16年に比べると回復したという。