2月25日に今季の開幕を控えた徳島ヴォルティスで、10代の選手たちがアピールを続けている。17日に行われたガンバ大阪との練習試合の第1試合では、10代の選手4人で中盤を組む時間帯もあった。それぞれが持ち味を発揮して、相手ゴールに迫ったり、体を張ってボールを保持したりと攻守に光ったプレーを見せた。今季の徳島の中盤は、昨季の主力が残った上に、スペイン出身のシシーニョ、内田航平といった実績十分の選手が加わった激戦区。試合出場、定位置奪取を目指す若手がさらに競争を激化させ、J1昇格に向けた力になりそうだ。

練習試合では、18歳のルーキー・井澤春輝(浦和レッズユースから加入)と渡井理己(静岡学園)、2年目の19歳・小西雄大が先発。2種登録の17歳・藤原志龍(徳島ヴォルティスユース)が後半途中から加わり、10代カルテットで中盤を形成した。

数字に残る結果を残したのは渡井。トップ下で先発し、前半は強い当たりを受けることもあったが、後半からはポジションを修正して攻撃力を発揮。左サイドのゴールライン際まで持ち込むと、相手のスライディングをかわして、中央に折り返しのパス。新加入のFW呉屋大翔が決めて、アシストとなった。足元の技術の高さやゴールへ向かう姿勢をアピールし「結果を残せたのはよかった」と喜ぶ。それでも「ゴールを求めてプレーしたい」とさらに得点への意欲をのぞかせた。

アシストで結果を残したMF渡井=2月17日、大阪府吹田市のガンバ大阪練習場

アンカーを任された井澤は、相手と競り合いながらもボールを失う場面は少なく、持ち前の球際での強さを見せた。後半には、チャンスとみると、自分で持ち上がって果敢にシュートも狙った。攻守に存在感を見せ、好プレーの味方を大きな声で鼓舞する場面もあった。

球際での強さを見せたMF井澤

スタメン出場を目指す2年目の小西は、中盤右サイドで出場。昨季1年間プレーしてたくましさを増し、相手のプレッシャーにも動じずボールを保持したり、ボールを散らしたりと、落ち着いたプレーで中盤を支えた。相手のガンバ大阪の育成組織出身で、「トップに上がれなかった悔しさと戻ってきたうれしさと両方の気持ちがあった」と話した。気持ちの込もったプレーを見せ、積極的にボールに触り、シュートも狙った。

積極的にボールに絡んだMF小西

藤原志龍は、後半途中から中盤の左サイドに入ると、ボールの運び役にもなり、停滞気味だった中盤の動きを活性化。攻撃にリズムをもたらし、チームがシュートにつながる場面も増えた。今季は始動からトップチームに帯同し、格上が相手でも臆することなく堂々としたプレーを披露している。「今季こそはプロのピッチに」という思いは強く、懸命のアピールを続けている。

ドリブルで持ち上がる藤原志龍

2月1日に18歳になったばかりのルーキー・FW坪井清志郎(富山第一高校)は、第2試合の終盤に出場。1点リードの難しい場面だったが、無難にプレーをこなし、点差が広がるとサイドを駆け上がり、相手守備陣の裏を狙った。

ボールを追い掛ける坪井=2月17日、パナソニックスタジアム吹田

リカルド・ロドリゲス監督も豊かな才能を認める若手選手たち。開幕が迫り、主力選手のできに加え、若手のプレーにも注目が集まる。

高卒ルーキーの開幕ベンチ入りは過去になし 歴史を変えるか

Jリーグ参入後、徳島の最年少でのリーグ戦出場は、昨季、小西雄大が記録した18歳334日。得点は、金尚佑(キム・サンウ)が2006年に記録した19歳65日だ。高卒ルーキーが開幕戦でベンチ入りしたことはなく、18歳で得点した選手はまだいない。試合に出場し、チームへの貢献を目標に掲げる高卒ルーキーたち。2種登録の藤原志龍も含め、新たな記録を打ち立てられるか。彼らが歴史を塗り替えれば、チームの歴史を変える「J1復帰」もぐっと近づく。若い力の成長、活躍にも注目が集まるシーズンになる。