徳島市雑賀町東開の県護国神社の参拝客が増えている。今年の正月三が日は前年より約2千人多い約1万3千人が訪れ、3年連続で過去最多を更新した。2003年9月に同市の徳島中央公園の城山山頂から移転し、駐車場を広く構え、バリアフリー化を進めた。同神社は、高齢者や障害者らも参拝しやすくなり、市民に浸透してきたとみている。
初詣客は、移転して最初に迎えた正月三が日は約千人だったが少しずつ増加。16年に約1万人に達した。移転する前は100人程度だったという。年間の参拝客は、16年度は約5万人に上った。
同神社は、県出身の明治戊辰戦争以降の戦没者3万4369柱と殉職自衛隊員24柱を祭る。高齢化した遺族が城山山頂へ登るのが難しいなどとして、現在地(約9千平方メートル)に移った。駐車場は境内と神社南側に計約100台分を用意。バリアフリーに配慮し、階段は社殿前の数段しかない。社殿脇にはスロープがあり、車いすで社殿に入って参拝できる。
約10年前から毎年参拝している野村寿江子さん(70)=同市北沖洲3=は「大きな神社で、これだけ駐車場の広いところは徳島市にない。階段が少ないのも助かる」と話す。
神社では、移転翌年から毎年8月にビンゴゲームや阿波踊り奉納といった「みたままつり」を開くなど、地域に溶け込む活動も続けてきた。県遺族会が14年度、戦争で犠牲になった兵士の遺影や遺品を展示する「県戦没者記念館」を神社内に建設したことも、参拝者増につながった。
藤本久吉禰宜(ねぎ)は「多くの人に英霊を顕彰してもらい、平和の尊さを感じてほしい」と話している。