神山町議会の高橋和男町議が辞意を固め、17日に樫本雄一議長(当時)に辞職願の提出を申し出たものの、樫本氏が受け取りを拒否していたことが分かった。樫本氏は19日、「刑事事件になっているから(受理しなかった)」と認めた。同日開かれた町議会臨時会の議事進行が混乱するのを避ける狙いがあったとみられる。

 高橋氏が樫本氏と17日に電話でやりとりした際、一緒にいた町内の男性(87)が徳島新聞の取材に証言した。

 同日昼、高橋氏が男性宅を訪れて進退を相談し「道義的責任を取って辞職願を出す。持ってきている」と話した。帰りに樫本氏の自宅近くを通るため、辞職願を出す意向を電話で伝えたが、樫本氏から「(辞職は)もう少し待て」と拒否された。

 男性は民事裁判の経験があることなどから、昨年12月の金銭授受疑惑の発覚後、高橋氏から10回以上、相談を受けていた。

 樫本氏は19日朝の取材に「今は受理しない」と話し、高橋氏が辞職願を出す意向だったことを認めた。臨時会後は17日に受理しなかった理由について「刑事事件になっているから」とした。

 高橋氏は徳島新聞の18日の取材に「(新聞に)書いて書いてされて、わしの首が飛んでしもうた」と議員辞職を示唆。19日の臨時会後、「辞職願は出さないのか」との問い掛けには「ノーコメント」とした。同日正午時点で辞職願は出ていないという。

 高橋氏は2015年の町議選(定数10)で立候補を検討していた山本充良町議(当時)に出馬断念を働き掛け、現金50万円を渡したとされる疑惑の中心人物とみられ、当時は副議長だった。

 地方自治法は「議員は議会閉会中は議長の許可を得れば辞職することができる」としているが、県市町村課によると、辞職願の受理について明確な規定はない。ただ不許可とするには、正当な理由が必要とされている。