徳島県警は2月1日から、認知機能の低下などで運転免許を失う高齢者の情報を各市町村の地域包括支援センターに伝え、生活支援につなげる取り組みを始める。免許を持たなくても高齢者が生活に困らないように福祉部門と連携し、返納しやすい環境づくりを進める。

 運転免許課によると、免許更新時の認知機能検査で「認知症の恐れがある」と判定され、免許を自主返納するなどした高齢者のうち、希望者が対象になる。本人や家族に依頼書を書いてもらった上で、県警から市町村の福祉担当課や地域包括支援センターに氏名や連絡先などを伝える。

 地域包括支援センターの社会福祉士や保健師らは、返納者宅に電話連絡や訪問をして、困り事の相談に乗ったり、必要な生活支援のサービスにつないだりする。

 免許の自主返納を巡っては、事故防止に効果がある一方で、高齢者の生活の足が失われることが課題になっている。今回の連携によって、高齢者の認知症が重症化する前に、住み慣れた地域で暮らしていくための福祉サービスの提供につながる可能性が広がると期待されている。

 昨年3月の道交法改正で75歳以上のドライバーに対する認知機能検査が強化されたことに伴い、免許を自主返納する高齢者は増加傾向にある。運転免許課は「返納後の生活の悩みに福祉行政と連携して対応することで、返納への不安を少しでも和らげたい」としている。

 同様の取り組みは昨年3月に滋賀県警が初めて導入。同11月末時点で、高知、静岡など4県警でも実施している。徳島県警は同9月から、認知症対策などを担う県長寿いきがい課と連携し、準備を進めてきた。