王女「ずっとしたかったことができるわ」。男「例えば何?」。王女「あなたには分からないでしょうけど、したかったことをするの。一日中ね」。オードリー・ヘプバーンが主演した不朽の名作「ローマの休日」から、印象深い一場面を抜き出した

 物語を知らずに会話を聞けば、王女は一体どんな壮大なことに挑むのか、と想像するだろう。王女が望んだのはヘアサロンで髪を切り、食べ歩きやショッピングをしながら街を散策すること。庶民には当たり前のことが夢であり、お忍びで楽しんだ

 高貴な人や有名人は大変だ。高い地位や名声、報酬を手にできる半面、格式や過密日程に縛られて自由を奪われる。くだんの王女もしかり。市井のわが身に実感は乏しいが、そのストレスは相当だろうと同情する

 「自由な生活がしてみたい」と言った彼も、そうに違いない。人気グループ「嵐」が2020年末での活動休止を宣言した。リーダーの大野智さんがメンバーに気持ちを打ち明け、話し合ったという

 いま最もチケットが取れないとされる国民的アイドルである。「自由」になっても知名度は下がりそうにないが、分刻みのスケジュールから解放されるだけでも随分楽になるのだろう

 大野さんには2年後もすがしい表情を見せてほしい。映画の最後で、王女が浮かべた笑みのように。