「守り勝つ野球」を目指して守備練習に励む富岡西の選手=同校

 昨夏の全国選手権徳島大会準決勝で敗れた翌日の7月26日、現チームがスタートを切った。強打の佐藤、小田を擁した旧チームと比べて得点力の低下は否めないだけに、小川監督は「勝つためには失点を減らさなければいけない」と、守備力の強化をチームづくりの重点に据えた。

 旧チームから投打の軸だった右腕浮橋らを中心に、夏休み期間中は県外遠征で強豪校の胸を借り、実戦経験を積んだ。他部と共用するグラウンドでは守備練習に時間を割き、8月下旬に始まる公式戦に備えた。

 最初の公式大会となったのが南部ブロック大会。投打に安定した戦いぶりで順当に勝ち上がり、決勝へ駒を進めた。相手は阿南工・新野・阿南光の合同チーム。六回を終え、9―2とコールド勝ちは目前だった。ところが七回、2アウトを奪ってから最後のアウト一つが取れない。失策や四死球が絡み、3点差に追い上げられた。

 この回から左翼に回っていたエース浮橋をマウンドに戻したものの悪い流れは変えられず、9失点で逆転を許した。浮橋は「点差が開き、チーム全体に緩みが出てしまった」と言う。

 結果的には九回に坂本主将が逆転打を放ち、12―11でサヨナラ勝ちしたが、旧チームでも苦い経験を味わった終盤の失点という課題が浮き彫りになった。三塁手の吉田副主将は「まだ守備に不安があった。守りより攻撃の意識が強かったように思う」と振り返る。

 この頃から小川監督は旧知の指導者のノックを参考に、次々と打って捕球させる形から1球ずつ打って捕球後に野手間でボールを回す方法に変えた。送球先は捕手が指示するため、全員が最後までボールから目が離せない。二塁手の木村は「捕球に集中でき、試合感覚に近いので常に緊張感がある」と効果を口にする。内野陣は「0・1秒を削る」と速い送球を意識。一つのプレー、一つのアウトの大切さを徹底させた。

 練習から全員が1球に関わり、捕球動作や送球での改善点を指摘し合う場面も増えた。選手の自主性を重んじる小川イズムが根付き、精神面でも一回り成長した選手たち。チームが目指す「守り勝つ野球」に手応えを感じながら、選抜出場が懸かる秋の県大会を迎えた。