試行錯誤と挑戦を続ける高島さん=徳島市南常三島町2の徳島大

 現在の研究テーマは「超微細構造による新しい光現象の開拓とIoT社会に向けたLED・光センサー開発」。既存の物質にナノサイズの構造を人工的に形成することで、自然界にない新たな物性を創り出し、センサーへの応用を目指している。

 「研究が進めば、センサーを体に示して血中の血糖値や、がん細胞の有無が分かるようになります」。徳島大大学院社会産業理工学研究部専門研究員の高島祐介さん(28)=徳島市東吉野町3=はこう解説し、続ける。「幼い頃から注射が嫌でした。注射せずに血中の状態が分かればいいですよね」。自らの体験が研究の出発点かもしれない。

 阿南市津乃峰町出身。富岡東高校時代に「自分は何がしたいのだろうか」と考えた。父がLEDの世界的企業である日亜化学工業(阿南市)に勤めていた影響もあり、LEDに関心があった。加えて「なぜか宝石や光るものが好きだった」。LEDや光の研究環境が整っていた徳島大への進学を決めた。

 とはいえ、「2年の頃は180人中、170番台でしたけどね」と苦笑いを浮かべる。3年になり猛勉強したという。

 大学進学後は、大学院に進み修士課程修了後に就職しようと考えていた。大手光学機器メーカーへの就職を目指して活動する中、大学院で一つの実験が成功する。「自分のやりたいのは、こういう研究ではないか」と思った。

 一方、研究者の道に進んでも、すぐに大学の正規教員になれるわけでない。博士号を取得後、任期付きの研究員などを務め、実績を上げなければならない。社会的な課題にもなっている「ポストドクター」(ポスドク)と呼ばれる時期だ。

 周囲は就職を勧めた。自問自答を繰り返し「かなり迷いました」。最終的に背中を押したのは、実験の成功で得た感動だった。「あれがなければ絶対に就職していました」と振り返る。

 現在は研究漬けの毎日。すぐに成果は出るわけでなく、「論文の締め切りが近づくと、相当なプレッシャーがある。心が折れそうになる時は、しょっちゅうです」と明かす。

 そんな時には「逃げても解決しない。信じてやるだけ」と言い聞かせている。多くの研究者が強い信念で切り開いてきたからだ。

 「それと、これを見て奮起しています」として差し出したのは、市販品の小さなメモ帳。学生時代の指導教官だった直井美貴教授からもらったものだと言い、表紙にはこう書かれている。「出来ないのではない、やらないのだ」。必ず見える場所に置いている。

 日本光学会が関係する賞を複数受賞するなど、若手研究者として注目されている。「こうしたら、どうなるんだろうと、誰も知らない先を考えるのが楽しい。無理と言われることを可能にしてみたいですね」。飽くなき好奇心と探究心が、たゆまない挑戦を支えている。