徳島県が2016年に開発したイチゴの新品種「阿波ほうべに」が、初めて出荷された。昨秋からJA全農とくしまが、生育環境を自動制御する徳島市の次世代ハウスで栽培しており、程よい甘さと実の大きさ、堅さで市場の評価は上々だ。
収穫は昨年末に始まり、主に大阪市中央卸売市場に出荷されている。価格は1パック400円前後で、「新品種の割には高い値が付いている」(全農の担当者)という。実が大きくて堅く、輸送しても傷みにくい点が市場で好評価を受けており、輸出用に購入されたケースもある。
全農とくしまは昨年10月、阿波ほうべにの普及や新規就農者の育成などを目的に、徳島市多家良町に次世代型ハウス2棟(計14アール)を建設し、阿波ほうべにの生産を開始。県が提供した苗を基に育てた約5500株の苗を、ハウス内で二酸化炭素濃度や温度を自動制御し栽培している。
県は苗の提供を他のJAや民間の種苗会社に広げる計画で、今年の秋以降、農家の栽培が本格化しそうだ。
阿波ほうべには、広く普及しているさちのかに比べて収穫期が10~20日早く、9月に苗を植えれば11月下旬から出荷できる。クリスマス需要に対応しやすく、高値販売が期待されている。