徳島市幸町の徳島インマヌエル教会にホームレスの自立を支援する雑誌「ビッグイシュー日本版」がバックナンバーを含めて約40冊置かれ、誰でも読めるようになっている。徳島市の会社員女性(53)が「ホームレスを応援したい」と、以前に市内で路上生活をしていた販売員から月2回買い付けているものだ。
販売員は岡山市の小谷秀秋さん(50)。女性は半年ほど前から代金と封筒を送って「ビッグ―」を郵送してもらい、教会に届けている。
女性がホームレスに興味を持ったのは、20代の長女がひきこもりになったことがきっかけ。それまで「ホームレスやひきこもりは自己責任」と思っていたが、事故やうつ、リストラなどさまざまな理由で働けない人がいることを知った。
「ひきこもりと同じように生きづらさを抱える人を応援したい」と「ビッグ―」を購読するようになり、ツイッターを通じて小谷さんと知り合ってからは、小谷さんから買っている。
小谷さんは2011年秋から1年半、徳島市で路上生活をしていた。その間、通り掛かった人が着る物や食べ物の心配をしてくれたり、ホームレス仲間から「まだ若いんだからなんぼでも働けるだろ」などと励まされたりし、再起する決意を固めた。「あのとき人の温かさに触れたから、野垂れ死にせずに済んだ。今の自分があるのは徳島のおかげです」と言う。
ビッグイシュー日本(大阪市北区)によると、ビッグイシューは徳島に販売員がおらず、県内ではほとんど出回っていない。女性は「興味を持ってもらうことが、ホームレス支援につながる。気軽に読みに来てほしい」と話している。
教会は毎月第1、第3土曜日の午後1時~4時半にフリールームを開放しており、「ビッグ―」を読むことができる。
<ビッグイシュー日本版> 2003年発刊。販売員が1冊350円で売ると180円が手元に入る仕組みで、路上生活者が駅前などで販売している。発行は月2回。徳島を除く全国の12都道府県で販売されている。これまでに映画俳優のインタビューのほか、フードバンクや夜間中学、赤ちゃんポストなどが特集されている。ビッグイシューは1991年にイギリスで創刊された。