昨年8月に鳴門市の徳島自動車道で路肩に停車中のマイクロバスに大型トラックが追突し、高校生ら16人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われたトラックの元運転手菊池誉司(たかし)被告(50)=松山市南久米町=の判決公判が24日、徳島地裁であった。坂本好司裁判長は「被告の運転は著しく危険で、結果は重大」として禁錮4年(求刑同7年)を言い渡した。
判決理由で坂本裁判長は「15歳の若さで突然生命を失うなど、被害者の無念さは察するに余りある。遺族らの処罰感情が峻烈(しゅんれつ)なのは至極当然」と指摘した。居眠り運転に陥った菊池被告は減速せずに路肩のバスに追突しており「運転の態様は著しく危険。事故現場までに停車できる場所はあったのに、強い眠気を感じたまま運転を継続した」と非難した。
弁護側が最終弁論で「少なからず落ち度がある」と主張したバス運転手の対応については「(故障による停車を)高速道路事務所に通報していないなど適切さを欠くところはあったが、被告に有利な事情として考慮できない」とした。
さらに、1人の乗客の供述から、バス運転手が事故直前に衝突の危険を察知し、迫ってくるトラックに合図をするために車外に飛び出した可能性があると言及。「極限状態の中、運転手の責務を果たそうとした蓋然(がいぜん)性があることは指摘しておかなければならない」と述べた。
判決によると、菊池被告は昨年8月25日午後5時ごろ、鳴門市大津町大幸の徳島道下り車線で大型トラックを居眠り運転し、路側帯に止まっていたマイクロバスに追突。バス乗客の富岡西高1年森下汐音(しおん)さん=当時(15)、海陽町宍喰浦=とバス運転手の岡本勉さん=当時(30)、阿波市阿波町綱懸=を死亡させ、乗客14人に重軽傷を負わせた。
判決後、菊池被告の弁護人は「(控訴するかどうかは)まだ答えられない。被告と相談して検討する」と話した。
森下さんの遺族の代理人弁護士は「求刑に対し、判決は軽いのではないかという印象を持っている」と述べた。