徳島県警は4月から、児童虐待の危険度を客観的に判定し、本部と各警察署で情報共有するための新しいシステムを導入する。潜在化しやすい虐待のサインを見逃すことなく、より迅速に的確な対応ができるようにするのが狙い。
導入するのは「危険度判定チェック票」と「児童虐待事案等管理システム」(いずれも仮称)の2種類。
チェック票は、警察署のパソコンで児童虐待の危険度をA(重度)~D(疑いなし)の4段階で自動的に判定する仕組みで、児童の様子や保護者の態度、家庭環境などに関する約30項目のリストに有無を入力する。
各項目は、110番などで現場に駆け付けた警察官が児童や保護者から聞き取ったり、生活環境を観察したりして確認。判定に基づき、児童を保護する必要性などを判断する。
管理システムは、各署で取り扱った虐待事案の情報を共有し、氏名などから検索できるようにする。これまでも児童の氏名や虐待種別などはデータで検索できたが、詳細な情報は各署が書類で保管していたため、担当者が不在の夜間などは確認に時間がかかった。
児童虐待は、家族が以前に住んでいた住所の管轄署や、出掛けた先で対応した署が情報を持っているケースがあり、新システムによって過去の対応状況を即座に把握できるようになる。
さらに「泣き声がする」など、該当者が不明な通報があった場合に、注意が必要な家庭が付近にないか、住所から検索できるようにする予定。
大阪府警や岡山県警などの先行事例を参考に、徳島県の実情に合わせたチェック項目を検討するなどして、試験導入に向けた準備を進めている。少年女性安全対策課は「児童の安全確保を最優先に、対応を強化していきたい」とする。
近年、県警が取り扱った「児童虐待が疑われる事案」は増加傾向にある。2014年から4年連続で年間200件を超え、07年(79件)の3倍近くになった。昨年は222件で、うち139件を児童相談所に通告した。