景気拡大期間が73カ月に及ぶ2000年代の「いざなみ景気」には、いろいろな別称がある。ちょうど10年前、戦後最長となったことについて「あえて一言で表現するなら」と記者会見で聞かれ、時の与謝野馨経済財政担当相は答えている。「だらだら、かげろう景気、とでも言うんでしょうか」

 長いことは長いが、内需の実体が伴ったものなのかどうか。そんな思いもあったのだろう。<陽炎稲妻水の月>という例えもある。捉えどころがなかったのかもしれない

 12年12月から続く現在進行形の景気拡大が、いざなみを超え、戦後最長を更新したことが確実になった。平成を超えて、改元後も続く可能性がある

 とはいえ、物価変動を除く実質国内総生産(GDP)成長率は、いざなみの1・6%に対して、1・2%。だらだら感もまた増しているかのようだ

 「アベノミクスは今なお進化している」。鼻息の荒い安倍晋三首相とは裏腹に、ちまたで圧倒的なのは最長景気の「実感はない」という声である。しかも、財政出動や金融緩和などの副作用を心配する向きは多い

 財政規律に命を懸け、「政策の職人」でもあった与謝野さんなら、この景気拡大期間をどう称するだろう。名は体を表すという。中小零細企業にも、庶民にも、恩恵が行き届かない実感なきものを名付けるのは難しい。