香川県さぬき市で発生した高病原性鳥インフルエンザを巡り、半径3~10キロ圏内の養鶏場に鶏などの持ち出しを禁じていた「搬出制限区域」が解除される見通しとなった29日、徳島県内の養鶏農家はウイルス感染が拡大しなかったことに一様に安堵(あんど)した。

 搬出制限が解除されたのは30日午前0時。香川県が3キロ圏内の全ての養鶏場で行った清浄性検査で「陰性」が確認されたためだ。「自分のことのように心配していた。感染が広がらず良かった」と話すのは、さぬき市の養鶏場から十数キロの美馬市脇町の養鶏場で約6千羽を飼育する香川勝さん(81)。

 11日の鳥インフルエンザ発生確認後、鶏舎外壁に消毒液を拭きかけたり、外部の人との接触を避けたりと、入念な対策を取ってきたという。29日夜から4日間、次回の鶏の出荷作業を控えており、「まだ気が許せない。無事に出荷したい」と気を引き締めた。

 阿波尾鶏の加工販売会社・丸本(海陽町)のグループ企業で、養鶏業務を行うオンダン農業協同組合(同)の川田拓也理事は「感染が拡大しなかったことに、ひとまず安心した」と話した。

 ただ3月末ごろまでは、大陸などからの渡り鳥が活発に国内上空を飛ぶことから「まだ油断はできない。今後も消石灰での消毒などを徹底していく」と警戒を緩めない方針だ。

 一方、鳥インフルエンザが確認されたさぬき市の養鶏場を運営する徳島県西部の食品会社は、徳島新聞の取材に対し「行政に任せている」とし、規制解除やこれまでの対応についてコメントしなかった。