県秋季大会準々決勝の城東戦で本塁打を放つ富岡西の浮橋=昨年10月、鳴門オロナミンC球場

 昨年8月の南部ブロック大会で優勝し、続く県新人中央大会でも勝利。9月開幕の県秋季大会は第1シードとなり、追われる立場として臨むことになった。新チーム結成から約2カ月。重点的に鍛えた守備に手応えはあったものの、失点はまだ多く、自信をつかむには至っていなかった。

 初戦の2回戦を五回コールドで突破し、迎えた準々決勝。昨夏の全国選手権徳島大会でも対戦した城東との一戦は、三塁手の吉田副主将が「この試合で守備の自信が出てきた」と振り返るように、チームにとって大きな転機となった。

 城東は堅守が持ち味。ここまで2戦連続のサヨナラ勝ちで勢いに乗っていた。夏は富岡西が勝利しているとはいえ、しぶとい試合運びで苦戦を強いられた相手。「失点をいかに防ぎ、勝ちきれるか」。ナインは現在のチーム力を計る一つの試金石と捉えていた。

 一回に浮橋の適時打などで3点を先行し三回に坂本主将の長打などで2点を追加。五回には浮橋の2点本塁打が飛び出すなど打線が爆発した。

 大量リードを得ても選手に緩みはなかった。これには昨夏の徳島大会準決勝・鳴門戦での苦い経験がある。4点リードの九回、1点を与えたことで流れが変わり、逆転サヨナラ負けした教訓をナインは共有していた。

 四回、相手走者が三塁に進むと内野陣が前進守備を敷いた。マウンドにいた浮橋は「1点でも与えると相手のペースになる。絶対に失点しないつもりだった」と振り返る。このピンチを無失点でしのいだ。守りからリズムをつくり攻撃につなぐ富岡西らしさを随所に発揮して2年連続の4強入りを果たし、選手たちに自信が生まれた。

 四国大会出場が懸かる準決勝は徳島商と激突。強打で勝ち上がってきた相手だけに小川監督は「もっと失点を覚悟していた」という。しかし、守りは粘り強かった。得点圏に走者を背負いながらも要所を締め、ロースコアの接戦に持ち込んだ。延長十回を投げ抜いた浮橋は「バックがしっかり守ってくれて投げやすかった」。守備の安定が投球のリズムに好影響を与えた。

 試合は2点ビハインドの八回に下位打線がつくった好機で追い付く粘りを見せたが、延長十回に勝ち越され2―3で惜敗。決勝進出は逃したものの自信と経験が上積みされた選手たちは、翌日の3位決定戦に向けて、新たな心境で挑むことになる。