価格が高騰しているキャベツを並べる店員=徳島市のキョーエイ沖浜店

価格が高騰しているキャベツを並べる店員=徳島市のキョーエイ沖浜店

 徳島産などの野菜が高騰している。昨秋の台風や長雨と最近の寒波で生育が遅れ、例年より出荷量が減っているためだ。鍋物用に野菜の需要が高まる中、消費者の負担が増し、スーパーは買い控えを防ぐため小分けにして販売するなど工夫している。

 徳島産野菜の主な出荷先となっている大阪市中央卸売市場。1月30日の平均価格はダイコン(10キロ)が1360円と前年同期の861円から1・6倍に高騰した。ブロッコリーやカリフラワー、ホウレンソウも前年より20~25%程度高い。

 JA大津松茂(本所・鳴門市)ではダイコンの生育が遅く、出荷量が例年の30~40%に落ち込んでいる。昨秋の種まきの時期に台風に襲われ、その後の低温が影響した。担当者は「単価は上がってもそれ以上に出荷量が減っており、売り上げはマイナスだ」と嘆く。

 徳島産の青ネギ(5キロ)は1月29日の大阪市中央卸売市場で前年比2・2倍の5873円。JA徳島市渭東支所によると、昨秋の長雨と最近の寒波が影響し、収穫量は例年の半分ほどに減っている。担当者は「一部がハウス栽培なのでまだよかったが、全てが露地物だったらどうなっていたか」とこぼした。

 県内に5店舗を展開するセルフうどん店の「やま」は従来、ネギはセルフサービスで客が自由に入れられたが、価格高騰後、店員がスプーンで1、2杯入れるようになった。徳島駅前店の担当者は「お客さんには、中国産のネギに変えたくないと言って納得してもらっている」と話す。

 スーパーのキョーエイではキャベツ1玉が298円(税別)と、野菜がおおむね例年の1・5~2倍に高騰し、客が買いやすいように3分の1にカットしたり、値動きの小さいカット野菜のコーナーを設けたりしている。

 徳島市の沖浜店の売り場担当者は「1玉300円もするとなかなか買ってもらえない。お客さんが購入しやすいような工夫が要る」と言う。

 同店を訪れた徳島市の主婦(73)は「夫婦2人なので、なるべく小分けにされた野菜を買っている。ダイコンは無人販売所を利用している」と話した。

 農林水産省が1月31日に発表した野菜の価格見通しによると、2月前半はハクサイで高値水準が続き、ダイコン、キャベツ、ホウレンソウは徐々に出荷量が増えて値下がり、ネギ、レタスは平年並みに戻るとみている。