松村医師の指導の下、豚の心臓を使った模擬手術に取り組むザンビア人外科医ら=ザンビア・ルサカのザンビア大付属教育病院

松村医師の指導の下、豚の心臓を使った模擬手術に取り組むザンビア人外科医ら=ザンビア・ルサカのザンビア大付属教育病院

 アフリカ南部・ザンビアで心臓外科医の指導、育成に取り組むNPO法人「TICO」(吉野川市)の医療チームが現地に到着し、1月31日(現地時間)から首都ルサカでザンビア人医師のトレーニングを始めた。人工心肺装置を使った心臓外科手術に備え、4日間にわたり講義と実技演習を重ねる。チームは5日から、心臓の一部に開いた穴をふさぐ心房中隔欠損(ASD)の閉鎖手術を4例行う。

 トレーニングはルサカ市内のザンビア大付属教育病院で実施。TICOの松村武史医師(46)が指導役を務め、人間の心臓と似ている豚の心臓を使った模擬手術を行った。実際の手術では、心臓を包む心膜の一部を切り取り、穴に接ぎ当てる「パッチ閉鎖」を行う予定。模擬手術でも同様の手順を踏み、執刀予定の現地医師4人は人工心肺につなげる管を心臓に装着。心膜の切り取りと縫合作業に慎重な手つきで取り組んだ。

 松村医師は模擬手術に先立ち、手術前後のケアや注意点に関する講義も行い、「合併症の可能性なども考慮し、準備から術後ケアまでしっかりと計画を立てて手術に臨む必要がある」などと心構えを説いた。

 本番の手術は子ども2人、大人2人を対象に、現地医師が1人ずつ執刀する。子どもの手術を担当するエマニエル・リーチ医師(35)は「心臓疾患を抱える患者はザンビア国内に多いが、これまでは外国人医師に頼るしかなかった。日本の医師団が技術伝達をしてくれてうれしい。手術を成功させたい」と意気込んだ。