浸水の恐れがあるとして航行不能になった豊和丸。サルベージ船(奥)が排水作業を行っている=午前7時ごろ、南あわじ市の福良港付近(徳島海上保安部提供)

浸水の恐れがあるとして航行不能になった豊和丸。サルベージ船(奥)が排水作業を行っている=午前7時ごろ、南あわじ市の福良港付近(徳島海上保安部提供)

 4日午後7時45分ごろ、兵庫県南あわじ市の福良港沖に停泊中の天神汽船(広島県東広島市)所有の化学物質運搬タンカー「豊和丸」(198トン、脇舎真治船長ら3人乗り組み)から、徳島海上保安部に「機関室が浸水し、転覆の恐れがある」と救助要請があった。巡視船2隻が急行し、乗組員を救助した。3人にけがはなかった。

 同保安部によると、タンカーは硫化水素ナトリウム130キロリットルを積み、午後2時ごろに和歌山県海南市の海南港を出港。東広島市の安芸津港に向けて紀伊水道を航行中、浸水警報が鳴ったため、福良港付近に避難した。

 浸水は機関室にとどまっており、5日朝からサルベージ船が出て排水作業を行っている。避難前に乗組員がバルブを閉め、硫化水素ナトリウムの流出防止措置を取ったという。化学物質の流出は確認されていない。

 事故当時、現場周辺は晴れており、西の風11メートル、波は0・5メートルと穏やかだった。同保安部が浸水の原因を調べている。