上空に強い寒気が流れ込み、今冬屈指の厳しい冷え込みとなった6日朝の徳島県内は、徳島市や県北部などで道路凍結によるスリップ事故が相次いだ。朝の通勤・通学時間帯と重なったため、県都を中心に各地で渋滞が起こった。
午前8時半までの県警のまとめによると、路面凍結によるスリップなどで92件の交通事故が発生。このうち徳島、阿波、石井、上板の4市町で計10件の人身事故があり、運転手ら10人が軽いけがを負った。徳島市川内町大松から同市三軒屋町の大松川橋にかけての国道11号と55号の約7キロで、渋滞が発生した。
交通機関のダイヤも大きく乱れた。徳島バスや徳島市営バスは始発から一部路線の運転を見合わせたが、午前10時ごろから徐々に正常運行に戻っている。四国交通も三好市を走る一部路線などで折り返し運転をしている。高速バスは各社とも平常運行した。
徳島駅前バスターミナルでは、夫婦で徳島観光に訪れた愛知県春日井市の河瀬憲子さん(73)が、鳴門公園に向かう路線バスの運休で足止めされた。河瀬さんは浮かない顔で「自然のことなので仕方ないが、早く動いてほしい」とこぼした。
県教委によると、吉野川、阿波など4市3町の小学校、高校、特別支援学校計8校が臨時休校。41校が授業の開始を遅らせたり、終了時間を早めたりした。このうち阿波市土成町吉田の土成中学校近くでは、教員らが生徒の登校に備えて通学路に融雪剤を散布。傍らでは凍った道でスリップした乗用車が脱輪し、そのまま放置されるなど、慣れない雪による混乱が見られた。
放射冷却現象のため観測史上最も低い氷点下6・5度を記録した海陽町では、特産の促成キュウリを栽培する園芸施設「スマートグリーンハウス」が普段より多めに暖房機を稼働させた。施設を管理するJAかいふの豊田穂(みのる)営業部長は「寒い日は重油をたくさん使うため、経営に影響する。早く暖かくなるといいのだが」と話した。
このほか、徳島市内で予定されていた「県障がい者施策推進協議会」が中止されるなどの影響が出た。