徳島市の阿波踊りに多額の累積赤字が発生している問題で、市は7日、主催者の市観光協会が金融機関から借り入れた4億3600万円の損失補償を2018年度以降は行わないことを決め、協会側に通知した。観光協会の特別会計を調べていた調査団から「観光協会が阿波踊り事業を継続することは極めて困難」などとする報告書が提出されたことを受け、判断した。

 市によると、損失補償は、4億円余りに上る借入金のうち観光協会が返済できない分を市が負担する契約。これまで市は金融機関との間で毎年4月に更新していた。市は観光協会が全額を返済することは困難と判断し、契約を更新しないことを決めた。

 観光協会は徳島新聞の取材に「後日記者会見を開き、協会としての考え方を説明する」としている。

 損失補償は1972年度に始まった。阿波踊りの累積赤字は膨らみ続けており、92年度に1億円を超え、2003年度には初めて4億円を超えた。市は、悪天候で踊りが中止となった場合のチケットの払い戻しや桟敷席の改修などが原因としている。

 調査団は、観光協会では、内規に反して一部で随意契約が行われるなど不適正な会計処理があったと指摘。遠藤彰良市長は「阿波踊り事業を円滑かつ健全に実施するための新しい運営体制の構築について検討する」などとしていた。