アフリカ南部・ザンビアで心臓外科医の指導、育成に取り組むNPO法人「TICO」(吉野川市)の医療チームが6日(現地時間)、心臓の一部に開いた穴をふさぐ心房中隔欠損(ASD)の閉鎖手術を首都ルサカの病院で行い、現地医師の執刀で初めて成功させた。
患者は、左右の心房を隔てる壁に直径約2センチの穴が開いた女児(10)。TICOの活動に協力する四国こどもとおとなの医療センター(香川県善通寺市)の江川善康医師(64)の助言を受けながら、ザンビア人のムダニソ・ズィワ医師(34)が執刀した。
女児は午前9時に手術室に入り、同10時半ごろから手術を開始。開胸後、女児の心臓と肺の機能を人工心肺装置を使って約40分間停止させ、ズィワ医師が心臓を包む心膜を切り取り、穴に接ぎ当てて縫合した。
手術は麻酔などの準備時間を除き約6時間で終了。女児の術後の経過は良好で、10日にも退院できる見通しという。
手術は江川、ズィワ両医師とザンビア人の助手、看護師の4人が担当。TICOの松村武史医師(46)も指導役として立ち会った。日本から同行している臨床工学技士の関谷理さん(60)=横浜市=が専門性の高い人工心肺装置を操作したほか、看護師の山﨑恵子さん(32)=吉野川市=は器材の準備や患者のケアに当たった。
ズィワ医師は「まずまずの出来。チームの連携も良かった」と話し、江川医師は「慎重に安全な手術ができた」と振り返った。
TICOは1月30日から現地入りし、ザンビア人外科医4人の実技トレーニングなどに取り組んでいた。当初は医師4人が1例ずつ手術する予定だったが、患者1人がASDではないことが分かり、8日までに3例の手術を行う。