徳島市の阿波踊りを主催する阿波おどり実行委員会(委員長・遠藤彰良市長)は1日、市中央公民館で会合を開き、事業の民間委託について、今夏の導入を目標に準備を進めることを決めた。遠藤市長が委員長を退くことも了承。5日の次回会合で実行委の新たな体制を決めることにした。

 民間委託は昨年の阿波踊りを検証した有識者会議が提案。遠藤市長への提言書では、導入時期について「今夏」と「来夏以降」の両案を併記した。

 この日の会合では、粟飯原一平委員(県中小企業団体中央会副会長)が今夏からの導入を主張。他の委員からは「市がどう関わるのかを明確にする必要がある」「もう少しきちんとした状態にした上で委託するべきだ。時期尚早だ」などと慎重意見が相次いだ。

 最終的には事務局が「受託事業者を選ぶためのコンペに必要な仕様書の準備を進めている」として今夏の導入に間に合うとの見方を示したことを受け、司会を務める市長が今夏からの導入を提案し、了承された。

 委員長としての去就について問われた市長は「(市が中心的に関与することは避けるべきだとした)有識者会議の提言は的を射ている」として、退く意向を表明。異論は出なかったが「市は実行委に残るべきだ」との意見が相次ぎ、市長は理解を示した。

 これを受け、中村太一委員(県商工会議所連合会会長)が実行委の再編成を提案し、了承された。

 このほか、有料4演舞場での「総踊り」実施を要請している阿波おどり振興協会との協議について、事務局が「振興協会から『南内町、市役所前の2カ所にした方がいいのではないか』との意見があった」と報告した。実行委は引き続き4演舞場での実施を働き掛けていくことにした。

市長の急ぐ姿勢に疑問

 阿波おどり実行委員会が、今夏の民間委託に向けて動くことになった。踊り事業から早期に距離を置きたい遠藤彰良市長の意向に押し切られた形だ。

 この日の実行委の会合では、今夏からの民間委託に慎重な意見が出た。委託後、徳島市がどこまで踊り事業に関わるのか、現時点では具体的になっていない。事業の赤字解消の見通しも明確ではない。これらを置き去りにして民営化を急いでいいのか―。委員の発言からは強い懸念がうかがえた。

 一方、市長は、早期に民間委託すべきだとした有識者会議の提言書について「かなり的を射た鋭いご意見」などと発言。慎重意見が相次いでも、最後は「今夏からの民間委託」に同意を求める形で、議論をまとめた。

 市長が早期の民間委託を目指す背景には、2016年の市長選から続く「阿波おどり振興協会」との政治的対立がある。両者の関係改善は困難なのが現状で、市長は踊りの早期正常化には自身が早く踊り運営から距離を置くべきだ、と主張している。

 ただ、民営化のスキームが明確になっていない現状で民間委託を急いでも、うまくいくかは不透明だ。有識者会議の提言書を後ろ盾に、民間委託を急ぐ市長の姿勢には疑問が残る。