自宅で長女の首を絞めたとして8日、殺人未遂容疑で徳島・阿南署に逮捕された容疑者の男は、昨年11月から週1回のペースで徳島県南部こども女性相談センターを訪れ、育児の悩みを相談していた。
近隣住民との付き合いがない容疑者にとって、センターが唯一のよりどころとなっていた状況が浮かび上がる。事件前日の5日にも訪れていた。犯行を防ぐことはできなかったのか。センターは「対応に落ち度はない」としている。
センターによると、容疑者が初めて訪れたのは昨年11月14日。児童福祉司や心理士が面談し、生活状況や心理状態を聞き取っていた。離婚や失業で子育てに不安を抱えており、面談するたびに、ひどく落ち込んだ様子を見せた。
センターは精神的な負担を減らそうと、長女を児童養護施設などに預けることを提案したが、容疑者は「子どもと離れたくない」と拒んでいた。
長女に暴力を振るうなどの問題が見つからなかったため、センターは緊急性の高い事案ではないと判断。児童福祉法に基づき、子どもを強制的に施設で保護する「一時保護」は実施しなかった。
センターの森吉憲三所長は、「子どもへの虐待は認められず愛情も感じられた。適切な対応を取ってきたと考えている」と話した。