徳島市の阿波踊りに多額の累積赤字が発生している問題で、市は9日、主催者の一つの市観光協会に対し、清算手続きに入るよう求める通知を出した。市は本年度、協会が金融機関から借り入れた4億3600万円の損失補償をしており、年度内に協会が返済できなくなれば市が負担しなければならない恐れがある。このため、保有する財産が減る前にできる限り返済に充ててもらうとしている。

 通知では、市が損失補償をしていることから、市民の負担を軽減させるためにも、直ちに清算手続きをする必要性を指摘。手続きに入る意志があるかどうかを16日までに回答するよう求めている。

 協会を巡っては、昨年11月から阿波踊りに関する会計を調べていた調査団が「赤字を解消しつつ阿波踊りを継続することは極めて困難」などとする報告書を市に提出。市は、協会に対して2018年度は損失補償をせず、補助金も支給しないことを決めている。この結果、協会が年度内に資金の借り入れや返済ができなくなる可能性があると判断した。

 市から清算を求められたことについて、協会は徳島新聞社の取材に対し「現時点ではコメントできない」としている。

 協会は1971年に設立された公益社団法人。15日にも阿波おどり会館で臨時理事会を開く予定で、今後の運営について協議する見込み。