手術を無事終え、握手を交わす(左から)江川医師、松村医師と現地の医師ら=ルサカ市のザンビア大学付属教育病院

手術を無事終え、握手を交わす(左から)江川医師、松村医師と現地の医師ら=ルサカ市のザンビア大学付属教育病院

 アフリカ南部・ザンビアで心臓外科医の指導、育成活動に取り組むNPO法人「TICO」(吉野川市)の医療チームは9日(現地時間)、滞在中に予定していた、心臓の一部に開いた穴をふさぐ心房中隔欠損(ASD)の閉鎖手術を終えた。6日から4日間にわたって現地医師が首都ルサカの病院で患者3人に執刀し、全て成功させた。

 手術最終日の9日は、ザンビア人のエドワード・ニンビリ医師(37)がメスを握り、TICOの松村武史医師(46)が指導役として立ち合った。

 患者は18歳女性で、心房に開いた穴が直径約4センチと比較的大きかった。ニンビリ医師は心臓を包む心膜を大きく切り取り、接ぎ当てて穴をふさいだ。

 約6時間で施術を終え、前回までの手術で指導役を務めた四国こどもとおとなの医療センター(香川県善通寺市)の江川善康医師(64)らと握手を交わして成功を喜んだ。

 ザンビア人医師によるASD手術は同国では初めてで、18歳女性のほか6日に手術した10歳女児と7日に手術した9歳女児を救った。18歳女性の手術は機材の調達が遅れたため、8日から9日にずれ込んだが、容体は全員安定している。

 プロジェクトの中心を担った松村医師は「周囲の協力もあり無事終えられた。教えることはまだたくさんあることも分かったので、今後に生かしたい」と話した。

 松村医師らは3人の退院を見届けて17日に帰国する。