中小企業診断士からアドバイスを受ける松屋呉服店の柴山さん(左)=阿南市富岡町

中小企業診断士からアドバイスを受ける松屋呉服店の柴山さん(左)=阿南市富岡町

 阿南市富岡町の商店主らでつくる富岡商店街協同組合が、衰退する商店街を再生しようと、次世代リーダーの育成を始めた。専門家による個別指導で店主の意識改革や強みを生かした店づくりを進め、新規客の獲得に取り組んでもらう。経営改善につながったノウハウは他店舗とも共有し、商店街全体の集客力を高める考えだ。

 全国商店街支援センター(東京)の支援事業を活用し、昨年10月から希望する美容室や飲食店など4店舗を対象に月1回の研修を開いた。中小企業診断士が各店舗の強みや弱みを分析し、店構えや商品の陳列方法などをアドバイスした。

 1月に開かれた本年度最後の研修では、3カ月間の成果を報告した。各店主らは客の反応や売り上げ増に一定の手応えを感じており、他店舗の見学者も魅力ある店づくりのポイントなどを学んだ。

 創業50年以上の松屋呉服店は、和服関連の商品が目立つよう陳列を工夫したほか、店先のガラス戸を覆っていた広告ポスターを外し、閉鎖的だった店内を明るくした。3代目の柴山郁子さん(54)は「お客さんの目線で店づくりを考えるようになった。次第に新しいお客さんが増えている」と自信を深める。

 阿南駅や市役所の周辺にある富岡商店街はかつて500軒ほどあったが、現在は150軒程度に激減。後継者不足に加え、大型量販店の進出やインターネット販売の普及で客離れが深刻になっている。

 商店街では活性化に向けて2013年度から店主らがプロの知識を伝授する無料講座「まちゼミ」を開いている。各店舗の魅力づくりも欠かせないと考え、人材育成に力を入れることにした。

 兼松功理事長(60)は「店同士が刺激し合えば、商店街全体に活気が出てくるはず。来年度以降も事業を継続し、元気な店主を増やしたい」と話している。