昨年2月に大潮の影響で鳴門わかめに大きな被害が出た鳴門市の沖合で、今季の収穫が始まった。生産者は「今年こそは豊漁で」と期待し、早朝から作業に追われている。
同市北灘町の粟田漁港では生産者が午前6時半ごろから漁船で沖合約900メートルにある養殖棚に向かい、長さ50メートルの養殖ロープを引き上げると、港に戻ってワカメの葉と茎を手作業で切り分けている。
北灘漁協によると、今年は海水温が低かった影響で例年よりやや大きい長さ1・3メートルほどになり、色もいい。漁協管内27戸の総収穫量は昨年より200トン増の約1400トンを見込んでいる。作業は3月中旬まで続く。
昨年2月末に同市鳴門町土佐泊浦で養殖棚が流された鳴門町漁協は昨季、約70戸で収穫700トン余りと、例年より2割ほど少なかった。
今季は、いかりが軽かったりロープが細かったりして養殖棚が流されることのないよう、再発防止策として▽いかりの重さは一つ32キロ以上▽いかりをつなぐロープは直径12~14ミリ、長さ100メートル(陸側除く)▽大潮の時は海上で見回り点検を行う―などに取り組んできた。
福池昌広組合長(64)は「二度と起こらないようにとの思いで対策を取った。今年はワカメの色がいい。無事に収穫を終えたい」と祈るように話した。