ベートーベンの交響曲「第九」演奏会「世界に広がれ!とくしま“歓喜の歌”プロジェクト」(徳島県、文化立県とくしま推進会議、県文化振興財団主催)が12日、徳島市のアスティとくしまで開かれた。6月に第九アジア初演100周年を迎える地に、約3千人の大合唱団による歓喜の歌声が響いた。
合唱団には、県内外で第九を歌い続けてきた合唱グループや中高生のほか、県と友好交流協定を結ぶドイツ・ニーダーザクセン州から県が招待した高校生100人が参加。世界的指揮者で文化功労者の秋山和慶さん(77)がタクトを振り、とくしま記念オーケストラの演奏に合わせて合唱団が力強く、伸びやかなハーモニーを響かせると、1080人の聴衆から大きな拍手が送られた。
カーテンコールでは、徳島市出身の作家・瀬戸内寂聴さん作詞の「ふるさと賛歌」を、歓喜の歌の旋律に乗せ、会場の全員で歌い上げた。
演奏会は、アジア初演100周年や20年のベートーベン生誕250年への機運を高めようと、16年から開催してきた。一方、とくしま記念オーケストラを巡っては関係者の脱税事件を機に数々の問題点が浮上。このため、県外のプロの演奏家を集めて行ってきた記念オケ事業は、今回の公演が最後となった。