一時は有権者の3割が参加できない恐れのあった米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る県民投票が、14日告示、24日投開票の日程で、全県で実施されることになった。

 「賛成」「反対」の2択だった投票条例が、「どちらでもない」を加えた3択に改正されたことで、2択では正確な民意が推し量れないと不参加を表明していた宜野湾、沖縄、うるま、石垣、宮古島の5市長が容認に転じた。

 条例では、最も多い選択肢の得票が有権者の4分の1に達した場合、知事は結果を尊重し、内容を首相や米大統領に通知すると規定している。

 思い出すのは、2000年1月23日に行われた吉野川第十堰(だいじゅうぜき)の可動堰化の是非を問う徳島市の住民投票である。反対票が圧倒的多数を占め、当時の小池正勝市長は可動堰反対を表明。「動き出すと止まらない」と言われた大型公共事業に待ったをかけた。主役は「民意」だった。

 今回、「基地問題に県民投票はなじまない」との意見も聞かれる。安全保障という国全体に影響を及ぼす問題が、一地方の声に左右されてはならないといった考え方だ。テーマは違うものの、第十堰住民投票でも同様の懐疑論があった。

 しかし、それはおかしい。賛否いずれの結果になったにせよ、県民投票に法的な拘束力はないから、なおのことである。住民の意見表明の機会は最大限尊重されるべきだ。政治は、民意をくみ取る努力を惜しんではならない。

 沖縄の大勢は、辺野古移設阻止を掲げて玉城デニー現知事が圧勝した昨年9月の知事選でも明らかである。ただ、知事選には基地問題以外の要素も加わっていた。今回は辺野古一本で、民意を、より明確につかむことが可能だ。

 そうした意味からも、県民投票まで1カ月を切った中、新たな護岸造成に着手した政府のやり方は容認できない。既成事実を着々と積み上げて、県民に諦めムードを広げる狙いもあるのだろう。せめて投票日まで、工事を中断すべきではないか。

 移設賛成派、反対派を問わず、議論の出発点は、世界一危険とも言われる普天間飛行場の危険性の除去にある。その「唯一の解決策」として、政府が辺野古に固執するのは、県外に受け入れ先がないためだ。

 国土面積の0・6%しかない沖縄に、在日米軍専用施設の70%が集中している。さらに新基地をとなれば反発の声が高まるのも当然である。

 安全保障は国全体の問題といいながら、過度の負担を沖縄に押し付けている現実がある。基地問題は人ごとではない。県民投票は、その現状を沖縄県外に暮らす私たちが見詰め直す機会でもある。

 本県には米軍の訓練ルートが設定され、再々の低空飛行に脅かされてもいる。決して無縁ではない沖縄の動きを、しっかりと見守りたい。