秋季四国大会準々決勝で勝利し校歌を歌う富岡西の選手たち=昨年10月、高松市のレクザムスタジアム

 11年ぶりに進んだ秋季四国大会の成績は、選抜大会出場へ向けて重要な資料となる。そんな舞台にも選手は気負わず、自ら考える野球で四国の強豪私学に挑んだ。

 初戦は名門の高知(高知2位)。新チーム発足後の練習試合で敗れていただけに、ナインは雪辱へ闘志を燃やしていた。試合の前日練習で高知の選手の動きを観察していた捕手の中西は「油断しているような空気があった」と振り返る。

 試合はエース浮橋が一回を無得点に抑えると、直後に1点を先制。追い付かれても突き放し、中盤以降も点差を広げた。しかし、2本塁打などで追い上げられ、7―7で八回裏の富岡西の攻撃を迎えた。

 中軸の坂本、浮橋が連続四球で出塁。吉田の犠打で1死二、三塁と好機を広げると、安藤が打席に入った。三塁走者・坂本と目が合い「ここはスクイズだ」と感じた。初球、坂本がスタートを切ると低めの球に食らいつき、うまく投前に転がした。「もちろんノーサイン。何度も練習してきたので落ち着いてできた」と安藤。これが決勝点となり、勢いに乗った。

 準々決勝の相手は、愛媛県優勝校の帝京第五。1試合を経験し左翼手の山﨑は「気持ちに余裕があった」と話す一方、帝京第五は初戦の硬さからかミスが続いた。富岡西は逃さずに攻め、序盤から得点を重ねた。

 浮橋も五回まで7四球と制球に苦しんだが、仲間から「ストライクを取れば打ち取れる。コントロール重視でいこう」と励まされ、立て直した。七回に吉田の2点適時打でダメを押し10―6で快勝。四国大会5度目の出場で、初の2勝。徳島県3位校が他県の優勝校を破る価値ある白星となった。

 準決勝の松山聖陵(愛媛3位)戦も富岡西の粘りは健在だった。3点を追う六回、1点差に迫り、なおも2死二塁から吉田が独断で三盗を試みた。吉田は「(打席の)前川は見えていたはず」と言えば、前川も「間に合うと思った」。あうんの呼吸で前川はバットを振らず、盗塁が成功。内野安打で3―3に追い付き、ノーサイン野球が輝きを放った。

 エース浮橋は秋の県大会から1人で投げ抜いた。失点、四死球こそ多かったが、「最後まで投げるつもりだった」とエースの自覚を強くした。

 準決勝は終盤に勝ち越されて3―5で敗れたものの、四国で4強。甲子園出場の可能性を残し、秋を終えた。