徳島県内唯一のきりげた工場を経営する「斉藤桐(きり)材工業」(東みよし町加茂)に「一本歯げた」の注文が相次いでいる。一本歯げたは平昌冬季五輪のスピードスケート女子1000メートルで銀メダルを獲得した小平奈緒選手らが練習に取り入れていることから注目されている。小平選手が使っているのは同社製ではないが、同社にも全国のスポーツチームから引き合いが急増。生産に追われている。
斉藤桐材工業などによると、一本歯げたは、古くは修験者が山を歩くときなどに使われていた。アスリートに人気なのは、台が半分で、前足底だけ乗せる形状のもの。不安定なげたを履いたまま屈伸したり歩いたりすることで、体幹トレーニングや姿勢の矯正に効果があるとされている。
小平選手の他にも、北京五輪陸上男子400メートルリレー銅メダリスト朝原宣治さんが陸上教室で紹介したり、世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王者の村田諒太選手が使っている様子などがテレビで放映されたりした。
同社は6~7年前、台を半分にした一本歯げたを健康グッズとして、一足2200円で販売し始めた。当初の売り上げは年300足ほどだったが、アスリートの使用が紹介されだした約2年前から、インターネットでの注文が急増した。
テレビなどで取り上げられるたび、1日30足単位で少年サッカーチームや剣道愛好家から注文が入り、今は年2千~3千足が売れている。
小平選手の本命である18日の500メートル決勝を前に、同社の斉藤雄二社長は「小平選手の活躍をきっかけに、世界でげたが注目されるようになってくれれば。けがをせずに戦いに臨んでほしい」とエールを送っている。