大杉漣さんが作った額縁を手に、個展への意気込みを語る隼平さん=徳島新聞社

 昨年2月21日に急逝した小松島市出身の俳優大杉漣さん=享年(66)=の長男で、写真家の隼平さん(36)=東京都=が、4月に県内で初めて開く個展の打ち合わせで来県した。「父を応援してくれた県民にお礼を言いたい」と語る隼平さんに、作品に込めたメッセージや、間もなく一周忌を迎える父への思いを聞いた。 

 ―個展のタイトル「wherever―揺れゆく時の中で」に、どのような意味が込められているのか。

 父の死後、自分が頑張らないといけないという思いと、精神的支柱を失った寂しさで常に心が揺れていた。父の死に向き合う時間が欲しくて昨年11月から1カ月間、欧州とハワイで写真を撮影した。そんな今の自身の内面を表現した。

 ―旅先で出会った人や何気ない風景を撮った理由は。

 父が突然いなくなり、当たり前の日常が幸せな時間だったと実感し、日常の大切さを知りたいと思った。喪失感を言葉でうまく表現できない分、写真を撮ることで昇華しようとしている面もある。

 ―写真を漣さんが作った額縁に入れるそうだが。

 8年前から作ってくれていて、35枚ほどある。父の死に目には会えなかったが、実家に戻ると亡くなる直前に作ってくれた額縁が置いてあった。私のために父が残してくれたものだし、「頑張れ」と励まされている気がする。だからこそ入れる写真はこだわりたい。

 ―もうすぐ一周忌を迎える。

 けんかもしょっちゅうする半面、頻繁に会ってたし、親友のような関係だった。今でも電話がかかってくるような感覚がある。教わった教訓や言葉の数々を、ふとしたときに思い出し、背中を追い掛けている自分に気付く。ただ、時間がたつにつれ、やるべき道を進むしかないと思うようになり、父からもそう言われているような気がしている。

 ―漣さんが願った故郷での個展が実現し、天国から喜んでいるに違いない。

 父は徳島が大好きだったし、私自身のルーツという思いもある。開催に向け協力してくれた父の友人はもちろん、会場に足を運んでくれる皆さんに感謝の気持ちを直接伝えたい。それが父への恩返しだし、最も喜んでもらえる報告だと考えている。

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 写真展は4月5~7日、徳島市のあわぎんホールで開かれる。入場無料。