グラウンドで吉田校長から21世紀枠での選抜出場決定の吉報を聞く富岡西の選手たち=1月25日

 選抜大会出場校を決める選考会が開かれた1月25日、ついに甲子園初出場の吉報が届いた。戦力以外も加味される21世紀枠(3校)での出場が決まり、野球を通じた町づくりを進めている地元・阿南市では野球部OBだけでなく、卒業生や地域の人々が待ちわびた便りに沸き返った。

 富岡西は昨秋の四国大会で4強入りを果たし、2001年、08年に続いて3度目となる21世紀枠の四国地区候補に選ばれた。過去2回は落選したものの、甲子園出場の目標は代々引き継がれ、近年は他部とのグラウンド共用の厳しい練習環境を克服し、県大会で好成績を残してきた。

 今回の21世紀枠選考では、戦績や清掃などの地域貢献活動に加え、阿南市が野球を通じた町づくりを進める上で、地域密着の伝統校として重要な役割を果たしている点も評価された。

 同市は岩浅嘉仁市長の肝いりで07年に野球による町おこしの活動をスタート。10年には「野球のまち推進課」を設けて全国大会や合宿の誘致などを推進。高校野球では選抜大会の北信越地区代表校が11年から直前合宿をJAアグリあなんスタジアムで行っている。

 昨春は日本航空石川が訪れ、富岡西も練習試合で胸を借りた。選抜出場校との対戦は、選手に大きな刺激を与えた。エース浮橋は「全国レベルの打者をどう抑えるか、緩急の使い方など攻略法の勉強になった」と話す。打球の速さや投手のレベルなどを体感できる絶好の機会に、小川監督は「選手たちが甲子園までの距離を肌で感じられる」と語る。

 15年にはスタジアム近くに屋内多目的施設「あななんアリーナ」を整備。マシンを使った打撃練習もでき、屋根付きのブルペンも備えている。地元高校には夏の選手権県予選前に優先的に使用できる日を割り振る。雨天でも練習ができる環境づくりなどの後押しは、チーム力向上につながっていった。

 阿南市からの甲子園出場は1996年夏の新野以来で、野球のまちを掲げてからは初の快挙。捕手の中西は「伸び伸びと野球ができる環境を与えてもらっている。地元の期待に応えたい」と話す。左翼手の山﨑も「野球のまちから出場を果たせたことを誇りに思う」と胸を張る。

 創部120年目の節目につかんだ選抜切符。ナインは地域への感謝の気持ちを胸に、球春告げる聖地で「富西野球」の新たな一ページを刻む覚悟だ。  =おわり