皇太子さま即位後の新皇室にとって、天皇、皇后両陛下が「象徴の務め」とした国民との交流をどのように継承していくのか、大きな課題となっている。

 宮内庁は代替わり後の、主要な地方訪問などの分担策を公表した。陛下の公務は、基本的に全て新天皇が引き継ぐという。平成皇室の在り方を受け継ぎたいという、皇太子さまの強いお気持ちの表れだろう。

 ただ、今回の天皇退位に至る経緯を振り返ると、その出発点に、天皇という立場に伴う負担の重さがあった。公務の質や量を見直さないと、今以上の負担を生む結果になりはしないか。

 皇室の先細りも心配されている。実際、今回の分担策で、秋篠宮さまの公務は、妻の紀子さまや長女眞子さまなどに引き継ぐしかない状況も生まれた。

 宮内庁によると、新天皇は国民体育大会、全国植樹祭、全国豊かな海づくり大会に加え、国民文化祭にも定例出席する。

 国体と植樹祭は昭和時代からの恒例だが、海づくり大会は陛下が皇太子時代から出席。即位と共に「格上げ」し、その後「三大行幸啓」と呼ばれた。

 これと同様、皇太子さまにとって独身時代から30年以上関わった国民文化祭には、特別な思いがあった。長く関わった行事への心情は、妹の黒田清子さん(紀宮さま)もかつて「毎年出席している行事が成長を続けていく様を見るのは、とても心強くうれしい」と明かしている。

 しかし天皇に課せられた仕事は、皇族と一線を画する。憲法で定められた国事行為、国を代表した外国訪問や賓客のもてなし、伝統の宮中祭祀。いずれも重責で、心身の負担は十分すぎるほど重い。

 現陛下は80歳を過ぎても、年間の地方訪問が120件を超え、昭和天皇と比べ3倍になった。

 皇太子時代からの交流や活動を継続したほか、「地方事情視察」などの名目で交流の場を増やしたためだ。離島や被災地に足を運び、国民の思いをくみ取ろうとされた。

 陛下はビデオメッセージで、国民に寄り添う天皇の姿勢を「全身全霊」と形容された。その努力は、触れ合いの場だけではない。事前に資料に目を通し、「お言葉」は自身でしたため、節制を怠らなかった。

 長い年月をかけて到達した両陛下の境地である。完璧に引き継ごうとすると、重圧になりはしないか。皇太子さま、雅子さまによる新たな皇室像を描いていただきたい。

 前回、代替わり後の新皇室は、昭和天皇を悼む服喪で始まった。その間の活動は、国事行為など必要に迫られるものだけだった。

 今回は、即位直後から国民の期待と注目を集め、一気に多忙になる。宮内庁には、新皇室の負担に十分な心遣いが求められる。