徳島県小松島市中田町脇谷の市営グラウンドを含む日峯大神子広域公園(脇谷地区)整備事業で、同公園の施設整備方針を協議する有識者会議が23日、同市役所で始まった。公園の敷地内にあり存続の危機に直面していた市のシンボル・金長大明神(通称・金長神社)について市は、モニュメントとして残す案などを示した。
市文化財保護審議委員や大学教授、住民代表ら委員11人が出席し、市の担当者が金長大明神の在り方について説明した。
一例として公園内で再構築する場合、市による金長だぬき伝説をモチーフにしたモニュメントの設置や、新設する管理棟内に記念館を設けるなど、宗教色をなくした整備が考えられるとした。今の形を維持するため公園外に神社を移設する場合は、政教分離に反するため「市が手を出すことはできない」とした。
委員からは「金長だぬきは日本タヌキ文化の重要な地位を占めている。全国から危惧の声が寄せられており、守るのは地元の責務だ」「市民の意見を聞いてから判断してはどうか」などの意見が出た。
公園の整備計画も提示された。ステージや遊具がある芝生広場▽管理棟などを備えた高台広場▽硬式野球規格に適合した野球場がある多目的運動広場▽乗用車64台を収容できる駐車場―など7エリアで構成し、敷地内にあるさまざまな記念碑は運動広場の北側に移設するとした。
3月末までにあと2回開き、整備方針を定める。
金長大明神をめぐっては、昨年末に市民有志が保存を求める団体を設立し、インターネットで情報発信を始めた。月1回の清掃奉仕や特製絵馬のプレゼントなどを通じて危機を訴え、県内外に賛同の輪が広がりつつある。