ブルペンで熱の込もった投球指導をする川端さん(中)=池田高

 プロ野球・広島で投手として活躍し、コーチなどを務めた川端順さん(58)=OKスポーツクラブインストラクター=が、県教委の事業として2018年から県内の中学、高校を巡回し、投手に技術指導を行っている。県内の野球が抱える課題やレベルアップに必要なことを聞いた。

  高校や中学校で投手に技術指導をしている。徳島の高校野球は全国でなかなか勝てなくなったと言われるが、選手やチームを見ての印象は

 投手には素質のある選手が多い。中学も高校もほとんどが公立で練習施設も十分でなく、指導も外部に頼らざるを得ない状況で指導者はよくやっている。中学校では合同チームのところもある。指導者は時間をやりくりしながらやっているという感じだ。勝てないからと指導者だけを責めるのは違う。

  全国で戦うための打撃や守備の課題は

 投手を含めた守りが弱い。守備の乱れから投手が四球で崩れる展開や、8―7といった打ち合いが多い。池田高は「やまびこ打線」で名をはせたが、全盛期は守備も堅かった。1982、83年に甲子園を制した畠山や水野の両投手からは「守りが良くて投げやすかった」と聞いている。つまり、しっかり守って攻撃をするというチームだった。攻撃は最大の防御ではなく、最大の守りは最大の攻撃を生むと考えている。

  守りの要は投手。全国では150キロを投げる高校生も多い。勝つためには球速も重要になってくるのか。投手育成で意識することは

 徳島では肩の強い野手が投手をしている。馬力があっても投げ方は野手。1、2、3で投げているだけだ。意識してほしいのは、打者のタイミングを外せば抑えられるということ。球速は重要ではない。逆に思うかもしれないがまずはタイミングの取り方、次に制球、最後に球速と考えた方がいい。球速があるのは確かに魅力だが、野球は三振を取るだけのゲームではない。投手はなぜ8人が守っているかを考えないといけない。球速はトレーニングをすれば勝手に付いてくる。しかし、タイミングや制球は技術練習をしないと身に付かない。

  技術を身に付けるために重要な時期はいつごろか

 中学から高校1年生くらいまでにフォームは固まる。プロで鍛えると球速は増すが、フォームを直すのは大変。長年の癖が付くとプロのコーチでも直せない。選手を花に例えると、プロの世界では咲いた花に水をやっているだけ。選手を育てるのは中学、高校の指導者だ。その時期にこそ、技術的な飛躍や将来の方向性が決まる。誇りを持って選手を育ててほしい。

 川端 順(かわばた・じゅん)徳島県松茂町出身。鳴門高から法大、東芝を経て1984年にドラフト1位で広島に入団。85年に先発、中継ぎ、抑えで活躍し新人王に輝き、87年には最高勝率をマークした。92年に引退。93年から2005年まで投手コーチを務めた。その後、球団フロント入りし、08~17年は編成グループ長として選手獲得などに携わった。