1989年に登場した世界初の振り子式気動車2000系の試作車で、約30年にわたって第一線で活躍してきたJR四国の車両「TSE」が、老朽化のため3月17日に定期運行を終了する。
振り子式は車体を傾けてカーブを高速で通過する仕組み。気動車では構造上、導入が難しかったが、新技術を導入して開発に成功し、カーブの多い四国の鉄道の高速化に貢献した。
TSEは「四国を駆ける試作車」を表す英語の略。3両が製造され、土讃線や高徳線などの特急として使われた。現在は予讃線の特急列車として松山―宇和島間を運行している。TSE引退後は、通常の2000系が同区間を走行する。
定期運行の終了後、TSEを使った「さよならツアー」が行われる。6月1日に松山から宇和島、同15日に高松から高知、7月3日に高松から多度津の各方面に向かう。
その後の車両の扱いは未定だが、半井真司社長は「わが社の屋台骨を支えた車両。できれば保存したい」と話している。