徳島県内24市町村で実施している各種がん検診の受診率について、自治体間で大きな差があることが、徳島新聞の調べで分かった。厚生労働省の指針で検診が推進されている5種類の2016年度実績では、肺でトップの神山町と最下位の鳴門市で15・8倍の差があったのをはじめ、他の4種も2・6~10・5倍の開きがあった。大半の受診率が3割以下にとどまっているほか、5年前と比較しても改善の傾向は見られず、低迷する実態も浮き彫りになった。
低さが目立つのが鳴門市で、胃、肺、大腸がいずれも県内最下位だった。市は「医療機関数が多く医療にかかりやすい環境のため、わざわざ市の検診を受ける人が少ないのでは」と推測。市が16年度に受診に関する意向調査を行ったところ、受けない理由については「時間がない」「健康に自信があり必要性を感じない」という回答が多かったという。
小松島市は、肺と大腸がいずれも下から2番目、子宮頸(けい)、乳が最下位だった。子宮頸と乳は、他市町村の委託医療機関も利用できるものの、市は「いずれも市内に1カ所しか検診できる機関がないことが影響しているのでは」と説明している。
受診率が1割を切る検診も多く、胃は17市町、肺は7市町、大腸は5市町、子宮頸は1市に上った。
3割を超えていたのは、全検診の中で最も高かった神山町の肺と、徳島市と藍住、北島両町の子宮頸だけだった。
肺の受診率が高かった理由について神山町は「検診車を町内43カ所に移動させて実施しているためではないか」とした。
全市町村の平均では、全5種が2割以下で最も低かったのは胃の8・3%だった。11年度との比較では、各種マイナス1・3~プラス0・6ポイントで推移している。受診率向上に向けて各市町村は検診料の負担軽減や啓発などに取り組んでいるが、大きな変化は見られない。
市町村のがん検診は、雇用先で検診が受けられる人を除く自営業者や主婦、高齢者らが主な対象。全体の受診率は厚生労働省が都道府県別を発表しており、16年度の徳島県は、胃が34・8%(全国40・9%)、大腸が33・5%(41・4%)などと、5種とも全国平均を下回っている。