貿易摩擦の緩和に向け、米国と中国はどこまで歩み寄れるのか。両政府は閣僚級協議を行い、中国の市場開放をはじめ、幅広く議論した。

 3月1日の交渉期限まで残り1カ月足らずである。トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席と会談して最終的な合意を目指すとした。

 重要なのは、米中間の隔たりを埋めていくことである。昨年から続いている大規模な制裁関税の報復合戦をやめ、事態の早期収束を図る必要がある。

 今回の閣僚級貿易協議について、米ホワイトハウスは声明で、知的財産権保護や技術移転の強要、貿易不均衡、人民元相場に関して議論したと発表した。

 両国政府高官は協議に進展があったとの認識を示している。しかし、最大の争点である中国経済の構造改革では、米国が納得する案が示されなかったとみられる。

 米国は中国に対して、国有企業支援など保護主義的な産業政策の転換を求めている。だが、中国にとっては、社会主義体制の根幹に関わる問題であり、譲れないとの姿勢に変化はないようだ。

 この問題をどう決着させるのか。両国は粘り強く議論を進めて、妥協点を探ってもらいたい。

 貿易摩擦は、ハイテク分野を巡る覇権争いも加わって激しくなった面がある。米政権は閣僚級協議の直前、米中対立の象徴的存在となった中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部の起訴を発表し、不正行為を厳しく取り締まる構えをみせた。

 米側は貿易協議と関係はないと主張したものの、圧力とも受け止められよう。交渉には自制も欠かせない。

 明らかなのは、このまま出口の見えない争いを続けても無益なことだ。

 交渉が決裂すれば、米国の新たな制裁関税発動につながる。中国の景気は一段と減速し、米国の景気息切れも早まろう。世界経済への影響は計り知れない。

 国連貿易開発会議が公表した2019年の世界経済見通しでは、米国と中国の経済成長率はともに前年と比べ0・3ポイント低い2・5%、6・3%と減速を予測している。

 さらに、双方とも貿易摩擦の影響を短期的に財政刺激策や産業補助金などで相殺しているが、中長期的には不確実性が高まるとも指摘した。

 日本企業の業績にも影を落としている。上場企業の18年4~12月期の純利益合計は、前年同期に比べ7・3%減となり、拡大傾向の業績は転換点に差し掛かった。

 欧州連合も、英国の離脱問題が重しとなり、勢いに陰りが見え始めている。経済大国である米中には、世界経済を安定させる責務がある。

 中国の春節(旧正月)の大型連休後に、改めて米中の閣僚級の協議が行われる。包括的な合意の取りまとめに向けて、糸口を見いださなければならない。