日本初開催の『ラフティング世界選手権2017』が、10月3日(火)~9日(月)の7日間、吉野川中流域(徳島県三好市、高知県大豊町)で開催される。チェコやニュージーランドなど22カ国から71チームが集結。日本代表の地元勢3チームは吉野川への思いを胸に、激流へとこぎ出す。

女子日本代表 ザ・リバーフェイス

女子オープンに出場する「ザ・リバーフェイス」は2007年7月に結成。吉野川を拠点に腕を磨き、世界の強豪と戦い続けてきた。10年にオランダで開催された4人乗りの世界大会で総合優勝。その活躍ぶりが、吉野川に世界選手権を引き寄せた。

 現メンバー8人は、ラフティングのガイドなどの仕事をこなしながら夢を追ってきた。週6日の早朝練習を欠かさず、6人乗りで世界一になる悲願を地元でかなえる。日増しに高まる重圧と緊張感にも「支えてくれた人たち、自分たちを鍛えてくれた吉野川への感謝を、最高の結果で示したい」と心を一つにする。

国際大会の成績

  • ’07年7月結成
  • ’09年5月ボスニア世界大会(6人制)準優勝
  • ’10年7月オランダ世界大会(4人)優勝
  • ’11年10月コスタリカ世界大会(6人)準優勝
  • ’13年11月ニュージーランド世界大会(6人)4位
  • ’14年10月ブラジル世界大会(4人)準優勝
  • ’15年12月インドネシア世界大会(6人)3位
  • ’16年11月UAE世界大会(4人)3位

メンバー:水澤知香さん(33)阿部雅代さん(39)浅井裕美さん(37)小林裕子さん(33)板華子さん(28) 大森望さん(24)船田理恵さん(28)安永有里子さん(25)

ユースチーム TRAKT(トラクト)

 若手も気を吐く。男女ユースチーム「TRAKT(トラクト)」は世界選手権の地元開催に合わせて昨年7月に発足し、メンバーは15~18歳の男女各7人。チーム名は「徳島の川の楽しさを知っているチーム」の意味を込め「徳島」「川」「楽しさ」「知っている」「チーム」の英語表記や英訳の頭文字を取って名付けられた。竹村碧(みどり)監督らの指導の下、毎週末に練習を重ねる。

 男子はスピードを重視した思い切りの良さが持ち味。右側でパドルをこぐ久保祐也主将と左側先頭の近藤堪太さんを中心に成長著しい。1年余りの練習の成果を海外勢にぶつける。土井歩主将と吉井夢女(ゆめ)さんの2人でスタートした女子は、4月末にメンバー7人がそろった。5月には初めての試合を経験し、ラフティングの楽しさに夢中。日本初の女子ユースとして歴史を刻む。

ラフティングとは?チームワークが重要な急流下り」

 強化ゴム製のボート「ラフト」で急流を下るスポーツ。米国の発祥とされ、英語のRaft(いかだ)が語源となっている。タイムなどを競うレースラフティングや、一般客が体験する商業ラフティングなどがある。

 一般的なラフトは定員6~12人で、重さ50~70キロ程度。フロアと呼ばれる床には水を自動で排出する穴があいており、ラフト内には強度を高める円筒状の間仕切りのような「スウォート」が2、3個設けられている。

 乗員はフロアを環状に囲んでいる「アウターチューブ」に座り、スウォートに足を挟んで体を安定させる。パドルの上端にあるT字型のグリップと棒状のシャフトを握り、水面をこいで進む。方向転換するときは、最前列の乗員がパドルの下側にあるブレードの角度を変えたり、片方の乗員だけが強くこいだりする。

 最前列の乗員が進行方向を決め、方向を変えるときに生じるボートのぶれを最後列の乗員が調整する。川の形や水量、川岸や障害物との位置関係によって流れの速さや方向が変わるため、状況に応じて経路を決める必要がある。

<展望>オープンの部 女子・ザ・リバーフェイス/男子・テイケイ

 今大会は6人乗りを採用し、男女それぞれ▽オープン(全年齢)▽マスターズ(40歳以上)▽ジュニア(23歳以下)▽ユース(19歳以下)―の4部門で争う。各部門とも4種目の総合得点を競う。配点の高いダウンリバーとスラロームの結果が総合優勝の行方を大きく左右し、最終日まで予断を許さない。

 12カ国で競う女子オープンは、日本代表「ザ・リバーフェイス」の戦いぶりに注目が集まる。吉野川のコースを知り尽くしている地の利があり、期待は大きい。

 ただ、昨年のアラブ首長国連邦で行われた世界選手権で、ザ・リバーフェイスは3位。優勝したイギリス、準優勝のチェコと今回もまみえ、白熱した展開になりそうだ。

 男子オープンには17カ国が出場。日本唯一のプロチーム「テイケイ」が存在感を示す。ブラジル、チリも有力視されるが、テイケイは5月に吉野川で開催された大会「大歩危リバーフェスティバル」に出場しており、コース攻略では分がある。

 ユースの男女には男子7カ国、女子5カ国がエントリー。地元の中高生チーム「トラクト」が奮闘する。

 マスターズは男子10カ国、女子4カ国の争いで、日本代表は男子「R6Masters」、女子はザ・リバーフェイスの元メンバーが所属している「SakuLa」が出場。ジュニアは男子10カ国、女子6カ国がレース。日本は男子の「TAMA」、女子の「BLOOM」が出場。世界に挑む。

競 技 4 種 目 紹 介

ダウンリバー 距離長いレースの花形

 吉野川に点在する多くの激流を乗り越えていく花形種目。4~8艇でスタートし、約8キロのコースでタイムを競う。他の3種目と比べて距離が格段に長い。得点は1位が全種目で最高の400ポイント。総合順位を大きく左右する。

 コースは年齢区分で異なる。マスターズとオープンは、三好市のウエスト・ウエスト前から阿波川口駅前まで下る。吉野川を代表する六つの大きな瀬があり、急流や大波、落ち込みをいかに攻略するかが勝敗を分ける。一方で流れの緩やかな場所も多いため、ボートのスピードを維持するスタミナ、冷静なペース配分も欠かせない。

 ジュニアとユースは高知県大豊町の豊永駅前から土佐岩原駅付近までの約4キロで競う。

スプリント スタートダッシュが鍵

 1艇ごとに約300メートルの短い距離を漕ぎ下り、タイムを競う。スタートダッシュの瞬発力に加え、ボートを正確にコントロールする技術が問われる。各艇2本ずつ下り、早い方のタイムで順位が決まる。1位の得点は100ポイント。

 「カシの瀬」の上流約50メートル地点からスタートする。瀬は右カーブになっており、場所によって流れの強さが異なる。タイムを短縮するには流れの強弱を見極められるかが重要。強い流れを生かしながらスムーズに下れるラインを選びたい。

スラローム ゲート攻略 高い難易度

 14カ所のゲートを順番にくぐり抜け、タイムを競う。一部のゲートは流れに逆らって川を上らなければならないよう設定されている。ゲートを通過しなかったり、接触したりした場合はペナルティーでタイムが加算される。4種目のうち難易度が最も高い。1位の得点は300ポイント。

 マスターズとオープンは吉野川最大の激流「イド瀬」に挑む。瀬の長さは約200メートルで、天然のスラロームコースと呼ばれる。点在する多くの岩が複雑な流れを作り、全てのゲートをくぐるのは世界トップ級のチームでも難しい。状況によっては難所のゲートをパスする決断も必要になる。

 ジュニアとユースのコースは「堂床」。比較的流れが緩やかな瀬で、岩も少ない。下りから上りへの切り替えを素早くできるかが勝敗の鍵を握る。

H2H(ヘッド・トゥ・ヘッド) 1対1で先着競い合う

 コースはスプリントと同じで、1対1で先着を競う勝ち上がりのトーナメント。短距離のため、スタートダッシュの比重が大きい。流れの中での位置取りを巡りボート同士が激しくぶつかり合うこともあり、相手ボートを押し返すパワーも求められる。1位の得点は200ポイント。

 舞台の「カシの瀬」は、川幅が約45メートルから約10メートルまで一気に狭まり、途中で右にカーブ。先行して瀬に入れば優位にレースを進められるが、ライン取りを誤ればカーブで失速する。瀬で逆転できる可能性があり、最後まで目が離せない。

大会概要

  • 開催期間:2017年10月3日~10月9日
  • 競技場所:四国吉野川中流域(徳島県三好市山城町・高知県長岡郡大豊町)
  • 主催:三好市、国際ラフティング連盟(IRF)
  • 主管:ラフティング世界選手権実行委員会
  • 共催:日本レースラフティング協会(JRF)、大豊町
  • 競技会場・競技本部:三好市山城町西宇「リバーステーション West-West」周辺
  • 開閉会式、オープニング・クロージングセレモニー:三好市池田町マチ「三好市池田総合体育館」
  • 大会本部:三好市山城町西宇 「旧西宇小学校」
  • キャプテンミーティング:三好市山城町西宇 「旧西宇小学校体育館」
  • 参加チーム数(予定):約80チーム(560名)

観戦スポット・駐車場

大会期間中(3~9日)、池田総合体育館と大歩危駅から大会本部のあるウエスト・ウエストまで無料シャトルバスが運行される。池田総合体育館隣の船井電機池田工場跡地に無料駐車場約400台分が設けられる。ウエスト・ウエストへの一般車の乗り入れは原則禁止。

間近で観戦できる場所は限られており、ウエスト・ウエスト前の岩場2カ所に各50人程度の観戦スポットが設けられる。岩場で観戦する場合は滑りにくい靴を履く。このほか、吉野川沿いの国道32号の歩道からは、ゆっくり移動しながら試合を見ることができる。

パブリックビューイング

池田総合体育館とウエスト・ウエストでは試合がある6~9日、パブリックビューイングがあり、大型スクリーンやモニターで競技映像が生中継される。問い合わせは三好市ラフティング世界選手権推進室<電0883(72)7628>。