徳島県が2019年度一般会計当初予算案を発表した。4月の知事選を控え、義務的経費を中心とした骨格予算との位置付けだが、18年に全国各地で相次いだ災害を受け、「県土強靱化」目的の公共事業予算を大幅に積んだため、前年度当初比の減少率は0・6%にとどまった。

 知事選後に補正(肉付け)予算として政策的事業が提案される。これを合わせて通年予算とするが、既にほぼ前年度と同水準にあることを考えると、前年度を上回るのは確実だろう。

 そうなれば、実質的な当初予算としては10年連続の増額となる。厳しい財政の中で続く「積極型」予算の効果について、十分な検証が必要だ。

 これまでの骨格予算でも公共事業は含んでいたが、年間見込み額の全てを計上せず、知事選後の肉付け予算で上積みするのが慣例だった。

 今回は、通年分の公共事業費を計上した。県財政課は、自然災害による広域被害の常態化や、昨年12月に総額約7兆円に上る国土強靱化の緊急対策をまとめた政府の取り組みなどを背景に挙げ、「災害の教訓を生かすためにも、県もいち早く対応する必要がある」と説明する。

 ほかにも理由はある。県議会全会派による公共事業予算の増額要請だ。18年度当初と17年度2月補正を合わせた前年度の「14カ月予算」に対し、19年度当初と18年度11月、2月補正を合わせた今回の「15カ月予算」が100億円上回るよう求めた。

 結果は、要請を超える119億円の増額となった。議会が求め、県当局が応えた。だから、この公共事業予算はチェックする必要がないかというと決してそうではない。

 国土・県土強靱化には景気対策の側面があり、防災を大義名分に過剰な公共事業を生む可能性をはらむ。国も地方も巨額の借金を抱え、人口減少が加速する今、インフラの拡充には本来、慎重であるべきだ。

 議会は増額を求めた立場として、総額892億円(15カ月予算ベース)の公共事業予算の必要性や優先順位を精査する責任がある。

 知事と県議は共に4月に選挙を迎えるだけに、「選挙前の大盤振る舞いか」「ばらまき復活か」と思う有権者も少なくなかろう。予算案審議の行方に注目が集まる。

 徳島にとって最優先事項といえる人口減少対策も同様である。

 総務省が先週公表した18年の人口移動報告では、東京一極集中にブレーキがかからない実態が浮き彫りになった。徳島県は2531人の転出超過だった。20年までに超過をゼロにする県の目標は、達成が難しい状況だ。

 県はあの手この手を打ってきたが、結果は十分得られていない。限られた予算が有効に使われているのか。選挙を前にした県議会2月定例会で徹底的に、かつ危機感を持って議論するよう望みたい。